1998 Fiscal Year Annual Research Report
生理的指標の実時間評価によるCAI個別学習の最適化に関する研究
Project/Area Number |
10680210
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
小池 敏英 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (60251568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前迫 孝憲 大阪大学, 人間科学部, 教授 (00114893)
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Keywords | CAI / 呼吸性心拍変動 |
Research Abstract |
学校教育においては、学習困難を示す児童生徒に対する個別教育プログラムが重視されるようになってきた。本研究では、学習困難を示す者や、精神遅滞児におけるCAI教材を作成し、生理心理的指標から評価を行うことにより、CAI教材の最適化を行う方法について検討した。はじめに、精神遅滞児を対象として、数概念の等価関係の発達と言語能力に発達、および一対一対応の発達との関係について検討を行った。その結果、精神遅滞児においては、言語能力の発達と数概念の等価関係の発達とは関連を示さないものを認めた。これにより、CAI教材においては、数の言語表記的側面、一対一対応能力の側面の発達促進を図る教材プログラムを独立して組み込み、対象児の発達に合わせてプログラムを構成することの必要性が明らかになった。生理的指標の評価に関しては、呼吸運動曲線と心拍間隔曲線のコヒーレンスの算出に基づき評価した。その結果、成人において連続注意課題を遂行させると、課題間の緊張の低減を能動的にコントロールし、その特徴は特に課題が困難な場合に明瞭になることを明らかにした。このコントロールは、最適な注意維持をはかる上で重要な機能を持つことから、精神遅滞児においても評価することが重要であると考えられた。課題遂行時においては、呼吸周期が不規則になりスペクトル算出の際の定常性の確保が困難になる。この点については、局所定常モデルを呼吸周期の評価に組み込み、呼吸運動曲線において定常性が確保された区間についてコヒーレンスを算出することによって、コヒーレンスの定量的評価が可能になることを明らかにした。
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