1999 Fiscal Year Annual Research Report
高齢難聴者の日常生活における聞こえの補償方法と教育支援プログラムに関する研究
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10680237
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Research Institution | Tsukuba College of Technology |
Principal Investigator |
大沼 直紀 筑波技術短期大学, 教育方法開発センター, 教授 (20169022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平根 孝光 筑波技術短期大学, 建築工学科, 助教授 (90218793)
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Keywords | 高齢難聴者 / デジタル補聴器 / 聴能訓練 / 人工内耳 / 補聴器フィッティング / エンハンス・スピーカ / マヒドール大学・ラチャスダ校 |
Research Abstract |
1)最新式のディジタル補聴器が高齢難聴者に適応できるかどうか、また、その特性処方の手順とフィッティング方法はどうあるべきかについて検討した。コンピュータ制御機能が組み込まれたフル・デジタル補聴器には、不要なノイズが入ってくると瞬時にそれだけを選び分けて減衰させる処理機能や、使用者の聴力では小さすぎて聞こえない音が入ってきた場合にはより強い音に、あるいは大きすぎてうるさい音に対してはより弱くといった自動調節機能が付加された。しかし、補聴器の装用効果を音場聴力検査で測定評価する場合に、コンピュータが検査音を雑音と認識してしまうことにより、補聴器の周波数特性と補聴器装用時の閾値データが従来の測定環境では得にくいという問題が生じることが判明した。 2)デジタル補聴器により、一人一人の難聴の特徴に合わせて細かな調整を補聴器に加える手順は格段に簡単に、しかも正確にできるようになった。しかし、コンピュータにいかに的確な聞こえのデータを入力しておくかでより重要な意味を持ち、従来のアナログ補聴器以上にフィッティングのための綿密な聴力検査が必要であることが判明した。 3)これまでアナログ補聴器を十分に使いこなしてきた難聴者ほど、急にデジタル補聴器に代えたとき、音量が物足りない、音の世界が何だか静かすぎるといった違和感を訴える症例が多かった。いわゆるアナログ型の耳をデジタル型の耳に変更させていく聴能訓練のプログラムが必要であることが示唆された。 4)人工内耳が高齢難聴者に適応される可能性があるかどうか、また、高性能の補聴器に代えて人工内耳手術を受けることのメリットは何か、適応条件は何かについて検討した。 5)高齢難聴者のテレビ音声受聴明瞭度の改善方法の一つとして、狭指向性エンハンスピーカの利用を検討しその評価を実施した。 6)難聴者の聞こえの特徴、心理状況、聴覚補償手段などを分かりやすく解説した啓発教育用テキストを作成し、その成果をタイ国の障害者のための高等教育機関、マヒドール大学・ラチャスダ校で開催されたセミナーで報告した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 三崎正之,田上亮,田川潤一,大沼直紀: "高齢者による騒音環境下での音声符号化信号の了解度評価"電子情報通信学会 福祉情報工学研究会第2種研究会資料. Vol.99,No.2. 27-32 (2000)
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[Publications] 大沼直紀: "小児の人工内耳と聴覚補償教育の課題"新生児難聴、第14回高度先進医療研究会総会講演記録集. 17-21 (1999)
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[Publications] 大沼直紀: "海外における0歳時難聴児の療育-最早期聴覚補償の教育効果の比較研究"The Journal of Highly Advanced Medical Technology. 2000年度号. 24-26 (2000)
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[Publications] Naoki Ohnuma: "Tele-Communication-from Bell to Audiologist"Hearing International Kyoto Symposium'99 Abstracts. 39-39 (2000)
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[Publications] 大沼直紀: "デジタル補聴器に至ったわけと特徴"ノーマライゼーション. 5号. 58-62 (1999)
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[Publications] 大沼直紀: "聴覚活用-聴覚障害教育におけるその意義と課題"聴覚障害. Vol.54,No.10. 4-8 (1999)
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[Publications] 大沼直紀: "教育オーディオロジー概説1-聴力と聴能"聴覚障害. Vol.55,No.1. 26-27 (2000)
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[Publications] 大沼直紀: "教育オーディオロジー概説2-アナログ補聴器とデジタル補聴器"聴覚障害. Vol.54,No.2. 26-27 (2000)
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[Publications] 大沼直紀: "教育オーディオロジー概説3-聴能評価の観点"聴覚障害. Vol.55,No.3. 36-37 (2000)