1999 Fiscal Year Annual Research Report
難聴学級児童の日本語文法獲得及び各教科学力向上のための実験教育的研究
Project/Area Number |
10680250
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
神 常雄 岩手大学, 教育学部, 助教授 (30113856)
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Keywords | 難聴 / 接続詞 / 統辞機能 / 診断テスト / ワーキングメモリー |
Research Abstract |
今回の研究結果を,当初掲げていた研究計画に即して以下に述べる。 1.研究計画(1)についてわれわれが幼児のときから指導してきた子ども6名について予備的に調査できた。どの年齢に関しても、国語の学力においては、特に漢字の書き取りは比較的良好であるが、やはり文の読解が遅れている。算数に関しては、ドリル的な計算等は比較的良好であるが、文章題でその意味の把握が困難であり、どのような計算式の方略を採用するかにとくに問題があった。全体として調査が遅れており、現在、全県的に調査を実施するつもりである。文法能力との関連は未実施。 2.研究計画(2)(3)について、昨年に続いて指導をお願いしている難聴学級の取り組みの中でほぼ接続詞学習のための効果的プログラムはめどがついた。今年度は聾学校と他の難聴学級で試してみる計画である。 3.今年度新たに実施した調査研究結果について述べる。教室における学習の困難の原因を言語なかんずく文法の未習得と考えてきたが、これまでの取り組みの中で実際には記憶の問題とくにワーキングメモリーの容量の問題が原因の一つとして新たに浮上してきた。県内の幼稚園児20名及び難聴児童・生徒(重度10名、高度10名、軽・中等度18名)に実施した結果,重・高度難聴児では幼稚園児レベル(数字のメモリースパンで平均5、ワーキングメモリーで2〜3、年齢に関係なく,中学生でも変わらない)にあることが判明した。想像以上の悪い結果なので、今年度の新しい課題としてこの問題を、学校の一般の授業の理解や文法指導の中で考えたい.
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