1998 Fiscal Year Annual Research Report
自己学習力を育てるオープンエンドな授業構成に関する研究
Project/Area Number |
10680251
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
西林 克彦 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (70012581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 敏之 宮城教育大学, 教育学部, 助教授 (80261642)
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Keywords | 自己学習力 / 問題解決学習 / オープンエンド / 知識の自己増殖 / 思考の柔軟性 / 学習指導 |
Research Abstract |
自己学習能力が生涯学習の時代において望ましい能力であり、その形成が重要であることは言うまでもない。しかし、自己学習能力の構成要素やその形成過程がいかなるものであるかについては明らかになっていないのが現状である。 そこで本研究の10年度では、自己学習能力を認知心理学的な知識論の観点から理論的に考察し、問題解決学習などの学習スタイルは自己学習能力形成に直結しないこと、むしろ知識の自己増殖的な発展過程が重要であるとの結論を得た。すなわち、自主的に活動できることが、知識を拡大し、新たな疑問を生み出し、その疑問を解消する過程で新たな学習を行わせることになるということである。したがって、自己学習能力の基礎として重要なのは、その領域に関する具体的な知識なのではないかと考えられる。調査によって、この過程の存在を確認した。そして、自己学習の結果としての思考の柔軟性は、学習者の持つ認知構造と大いに関係することも実験的に確かめた。 また、指導形態に関する基礎的な先行研究のレビューを行い、オープンエンドな指導法が、一般的にややもすれば単なる指導や思考の多様性と捉えられていることを見いだした。それに対して、先の認知心理学的な知識論からの結論を加味して考えれば、知識の足がかりを与えそこからの自己展開を促すという結論になる。いくつかの良質な授業の観察も行い、そこに、この意味での自己学習能力、オープンエンドな学習指導形態の要素が見られそうなことを確認した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 西林克彦: "知識から知性へ-いかにして知識はしなやかさを獲得するのか-" 教育と医学. 47巻3号. 224-230 (1999)
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[Publications] 西林克彦,藤岡完治他: "『学ぶ力を育てる授業づくり』 第7章「自己学習力を育てる教材解釈」担当" 株式会社 ぎょうせい, 200ページ (1999)