1999 Fiscal Year Annual Research Report
社会科における児童・生徒のコミュニケーション能力形成のためのプログラムの開発
Project/Area Number |
10680267
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
木下 百合子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10169914)
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Keywords | コミュニケーション / コミュニケーション能力 / 協同的学習 / グループ学習 / 協同 / 社会科教育 |
Research Abstract |
本研究は平成10度からの継続研究で、10年度に実施した予備調査から次のことが明らかになった。 (1)グループ学習形態のときに、一斉授業のときよりもコミュニケーションは活発である。 (2)児童・生徒が関心をもっている課題についての調べ学習と調査学習のときによく発言する。 (3)級友の発言を聞くこと、理解したことに関連させて発言することが不十分である。 (4)グループ学習形態が有意義であるかどうかは、クラスの人間関係と責任意識性によっている。 この結果から、本年度はプログラム開発をグループ学習に焦点化し、次の成果をえた。 (1)現代の子どもの発達傾向に鑑みて、協同的学習の組織形態の一つとしてのグループ学習形態が現代の子どもの発達にとって決定的な意義をもつことが理論的に明らかになった。また国際的に見ても国境を越えたコミュニケーションと協同が必要とされ、国際的協同的学習が組織されている。 (2)にもかかわらず、日本の実際の授業ではグループ学習は滅多に組織されず、指導も不十分であり、グループ学習のもつ発達潜在力が十分に汲みだされていない。その原因は、個性と社会性の発達の弁証法が考慮されず、「個性の発達」が短絡的に「個人学習」の組織化に結びついていること、相変わらず結果重視で、過程のもつ教育力が軽視されていることが継続調査から実証された。 (3)コミュニケーション活動をとおして個性が重視されていることが実感でき、人間関係と責任意識性の形成に寄与するプログラムとして、グループ学習を基盤に置いた、テーマ中心的インターアクションモデルを開発した。
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Research Products
(1 results)