2001 Fiscal Year Annual Research Report
日本における多文化教育の内容と方法の創造―英国の経験に学びながら―
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10680271
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
田渕 五十生 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (10179864)
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Keywords | 多文化教育 / 定住外国人教育 / 中国帰国者3世の教育 / 民族的アイデンティティ / 多文化共共社会 / マイノリティ教育 / 国際理解教育 / 在日コリアンへの教育 |
Research Abstract |
本年度は、研究の最終年度であり、過去3年間の調査を踏まえて、日本における多文化教育の在り方について、それなりの研究成果をだすことができた。 中国籍児童・生徒が多数在籍する大阪府松原市の恵我南小学校、松原東小学校の日本語教室への参与観察を行い、多数在籍する学校での取り組みはどうあればいいのかについて理解を深めた。特に、外国籍の子どもたちには、彼らの言語や文化や同胞等の民族性に触れる機会が保障されるだけでなく、周囲の日本人児童・生徒たちの彼らの「違い」に対する寛容な精神、多様性を尊重する態度が必要であることを明らかにした。その成果が論文「なぜ多文化教育が、いま必要なのか」である。 また、外国籍児童・生徒が少数在籍する学校へ出掛けて日本語指導に当たる日本語巡回指導講師たちへの聞き取り調査を行い、外国籍児童・生徒がどのような条件の下で民族的なアイデンティティを育むことができるかについて、論文「中国帰国者3世児童・生徒の生活と教育課題」にまとめた。 さらに、多文化教育と国際理解教育の関係について明確にした。そして、過去の国際理解教育の歴史を辿りながら、今後、日本における国際理解教育は多文化教育の発想に立つことが必要であることを二つの論文にまとめた。一つは、論文「国際理解・グローバル教育研究」であり、今一つは、「国際理解教育の歴史と『総合的な学習の時間』である。これらの成果を集大成し、2002年度中に報告書を作成したいと考えている。
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[Publications] 田渕五十生: "国際理解・グローバル教育研究"全国社会科教育学会著『社会科教育学研究ハンドブック』. 404-413 (2001)
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[Publications] 藤井健太・田渕五十生: "中国帰国者3世児童・生徒の生活と教育課題"奈良教育大学紀要. 第50巻1号. 1-16 (2001)
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[Publications] 田渕五十生: "国際理解教育の歴史と「総合的な学習の時間」"高円史学. 第17号. 1-15 (2001)
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[Publications] 田渕五十生: "なぜ多文化教育が、いま必要なのか"人権・同和教育兵庫. 第113号. 2-7 (2002)
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[Publications] 田渕五十生: "定住外国人と共に生きる地域社会をめざして"奈良大学同和・人権教育研究. 第13号. 2-18 (2002)