2000 Fiscal Year Annual Research Report
国語科授業における教師の実践的知識に関する実証的研究
Project/Area Number |
10680274
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Research Institution | TOTTORI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
松崎 正治 鳥取大学, 教育地域科学部, 助教授 (20219421)
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Keywords | 教師の実践的知識 / ディスコース / インタビュー / ナラティヴ / 多声性 / アナロジー / 関連性 / アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究では、これまでの教師教育研究では、十分に開拓されていない授業の運営に関する研究を目的として進めた。それも、小学校・中学校・高等学校の国語科授業における教師の<実践的知識>に的を絞って、究明することを目的とした。 1年目の平成10年度の小学校、2年目の平成11年度の小学校、高等学校に続いて、3年目の平成12年度も、中学校と高等学校の国語科授業を継続的に観察した。教師が<実践的知識>として、授業の説明においてアナロジー(未知の事柄に既知の事柄を重ねて推論すること)を多用していることなどについて、分析した。 研究の結果、国語科授業で教師は、次のような実践的知識を運用していることを明らかにした。 (1)教師は、他の児童が持っていないような観点から発言する児童の意見を重視して、それを他の児童の意見と関連させながら、授業を方向付けている。(関連性を創り出す) (2)教師は、言語コミュニケーションにおいて、授業の文脈に応じて、意味をずらしたり、意味の幅を広げたり、意味を重ねたりして、教育内容の理解を深めている。(多様性・多声性を創り出す) (3)教師はアナロジーを使って説明をし、生徒の比喩的な理解を深めている。(アナロジー的理解の深まり) (4)国語科授業に関する様々な理論的知識を今・ここに起こっている授業の出来事の中で、文脈に適合するように変形させて使っている。(文脈への適合) (5)授業の中で、児童生徒、教師ともに複数のアイデンティティを形成している。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 藤原顕,由井はるみ,荻原伸,松崎正治: "国語科授業構成にかかわる教師の実践的知識-2人の高校教師の比較による事例研究"兵庫県立看護大学紀要. 第7号. 1-15 (2000)
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[Publications] 井上一郎 編: "『国語科の実践構想-授業研究の方法と可能性-』(うち「総合学習『平和』について考えよう」の章を担当)"東洋館出版. 323(215-235) (2001)
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[Publications] 片上宗二,田中耕治 編: "<教職講座 新教科書シリーズ第6卷>『学びの創造ち学校の再生』(うち「国語科で何を教えるのか-教材・教育内容・学び-」の章を担当)"ミネルヴァ書房(4月刊行予定のため未定). (2001)