1999 Fiscal Year Annual Research Report
数学理解の2軸過程モデルの妥当性と有効性に関する実証的研究
Project/Area Number |
10680277
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小山 正孝 広島大学, 教育学部, 助教授 (30186837)
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Keywords | 数学理解 / 2軸過程モデル / 妥当性 / 有効性 / 実証的研究 / 算数・数学 / 授業 |
Research Abstract |
本研究の目的は,算数・数学の授業における児童・生徒の数学理解の深化に関する2軸過程モデルの妥当性と有効性を明らかにし,カリキュラムや指導方法等に対する示唆を得ることである。そのために,本年度は,2軸過程モデルの有効性に焦点を当てて,数学理解の深化をねらった算数・数学の授業を計画・実施し,その結果を,児童・生徒の数学理解が深化したかどうかを中心に分析することによって,2軸過程モデルの有効性を検討した。さらに,数学理解の2軸過程モデルの理論的な再検討を行った。 その結果,まず,数学理解の2軸過程モデルの有効性については,児童・生徒の数学理解を深化せせる授業を教師が構成し実施する際に,2軸過程モデルがその枠組みとして有効に機能し得る,ということが明らかになった。また,数学教育の指導方法に対する示唆として,授業で扱う教材に応じて2軸過程モデルをより具体化し,問題状況の設定を工夫したり,児童・生徒の主体的な活動や話し合いなどの活動を促したりすることが重要である,ということが得られた。 さらに,数学理解の2軸過程モデルの理論的な再検討を行った結果,このモデルの構築は,主として認知心理学的パラダイムを基底とし,構成主義的認識論に立って数学理解の解明にアプローチしようとする研究に位置づくことが明確になった。しかしながら,そのモデルを用いて授業での算数・数学の学習における児童・生徒の理解過程を解明したり,そのモデルを授業構成に適用したりするためには,その他の社会学的パラダイムや人類学的パラダイムに基づくアプローチによる研究によってそれを補完する必要がある,ということが明らかになった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masataka KOYAMA: "Process of Understanding Mathematics:The Teaching and Learning of Mathematics in a Classroom"PROCEEDINGS OF ICMI-EARCOME 1. Vol. 2. 275-292 (1998)
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[Publications] 小山 正孝: "数学理解の2軸過程モデル-その理論的な再検討-"日本教科教育学会全国大会論文集. 第25巻. 196-199 (1999)