1998 Fiscal Year Annual Research Report
数学教育における概念変容に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
10680283
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
長谷川 順一 香川大学, 教育学部, 教授 (90172890)
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Keywords | 基礎的分数概念 / 面積と周長 / 算数・数学観 |
Research Abstract |
1. 分数の基礎的概念理解の様相について、小学校3、4年生を対象として継続的な調査研究を行った。その結果、分数導入時から既に、基礎的分数概念自体の未習得者、量分数概念の未習得者、量分数概念習得者等に分化していること、導入時から1年弱が経過すると分数概念の混乱が大きくなることが明らかにされた。 2. 小学校4年生を対象とし、図形の面積と局長の概念の分離を目的とした授業及び授業前・後の調査について検討した。その結果、授業で扱われた図形については分離が達成されたが、他の文脈への転移ははなはだ困難であることが明らかにされた。 3. 小学校4、5、6年生を対象とし、小学生が算数に関する問題をどの程度「現実的な」観点から把握し得るかを調査した。その結果、現実的な観点の示唆の与え方によって回答に差異がみられるが、「算数=与えられた問題に対して答えを出すこと」といった算数観を覆すには至らないことが明らかにされた。 4. 中学1〜3年生の保持している数学に対するイメージや数学学習観を調査し、その結果をもとに中学校2年生を対象として、小グループ学習が生徒の数学に対するイメージや数学観に与える影響を検討した。その結果、小グループによる学習が、否定的な数学イメージや学習観の増加を抑制するものであることが明らかにされた。 これらの結果について、小中学校の先生方と協議すると共に、数学教育研究者から助言等を受けつつ、総合的に検討を進めている。
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