1998 Fiscal Year Annual Research Report
整数四則演算の難易構造の検討、及び教材、教授支援システムの開発
Project/Area Number |
10680292
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Research Institution | Tenshi Junior College |
Principal Investigator |
後藤 聡 天使女子短期大学, 衛生看護学科, 教授 (80301696)
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Keywords | かけ算九九 / かけ算の筆算 / 難易構造 / 教材開発 / 教授支援システム / 特異数の表象 |
Research Abstract |
本年度はかけ算に取り組んだ。かけ算九九では、解答過程のモデルを作成し、被乗数や乗数が大きくなるにつれて難しくなることを明らかにした。しかし、5の扱いは例外的に易しく、0や1と共に特異数として表象されていることがうかがえた。被乗数、乗数が同数の問題も易しい傾向が見られた。かけ算九九の全教材は教科書に記載されており、指導も単純であるため、教材の生成とシステム開発は必要としないと考えて割愛した。 筆算については、演算形態(二桁×一桁、三桁×一桁、三桁×三桁)別に次の手順で検討を進めた。 1. 難易分析と難易構造の検討:答を導くまでの計算過程を参考に演算の難易に関わると思われる要因として、答の桁、たし算の繰り上がりの有無と回数、被乗数・乗数・答の中の0の有無・数・位置、部分積の型、かけ算九九と一桁たし算の難易を抽出し、それらを基準に全問題を類型化し一覧表を作成した。それらについて子どもを対象とした調査を行い統計的に分析し、難易の全体構造を整理した。更に、各タイプの問題と問題に含まれる難易の性質、問題相互に存在する難易差などの難易構造が一目で把握できる図を作成した。 2. 教材の作成:1で得た全タイプについて、子どもが学習するための具体的問題を一定数生成した。 3. 教授支援システムの開発:現場の教諭が利用するための教授支援システムのプログラムを作成した。このシステムは初期画面で演算形態を選択する。第二画面では、類型化した全タイプの問題とそれらの難易構造の理解をユーザに促すために、1で作成した図を画像提示した。更に、2で生成した各タイプの問題をプログラムに加えておくことにより、任意の問題の提示、印刷、あるいは子どもが誤答した問題の診断とその難易の性質を提示するなど、ユーザの利用目的に応じた選択ができるようにした。
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