1998 Fiscal Year Annual Research Report
聴覚および言語に障害を持つ子供の早期発見・指導の体系化に関する指導-難聴を伴う重複障害児の補聴器装用指導-
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10680297
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Research Institution | Hiroshima Prefectual College of Health and Welfare |
Principal Investigator |
玉井 ふみ 広島県立保健福祉短期大学, 言語聴覚療法学科, 講師 (10280207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀江 真由美 広島県立保健福祉短期大学, 言語聴覚療法学科, 助手 (90310862)
山埼 和子 広島県立保健福祉短期大学, 言語聴覚療法学科, 助手 (30280209)
進藤 美津子 広島県立保健福祉短期大学, 言語聴覚療法学科, 教授 (40082177)
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Keywords | 難聴 / 重複障害児 / 補聴器装用指導 / 聴性行動 / 言語発達 / コミュニケーション / 言語指導 |
Research Abstract |
1. はじめに:難聴児では早期から聴覚を活用することが重要であるが,重複障害児においては補聴器の装用に困難を伴う場合が少なくない。装用困難な理由は症例によって様々であり,個々のケースごとに検討を加える必要がある。今回,補聴器の常用までに時間を要した1症例について補聴器装用経過と聴性行動,言語およびコミュニケーションの発達との関連について検討したので報告する。2.症例:3歳の女児。初診時年齢1歳7カ月。診断は多発奇形,低身長,難聴,精神運動発達遅滞,視力障害;先天性心疾患。検査所見:聴力検査;CORによる閾値は75〜85dB。ABR閾値は右耳は65dB nHL,左耳は100dBnHLの刺激に対して無反応であった。新版K式発達検査による発達指数(DQ)は35であった。3.指導経過:(1)補聴器装用:1歳9カ月時に右耳に箱形補聴器を装用開始した。本症例がコードをひっぱって耳型を外すため,連続的な装用が困難であった。補聴器の調整や,ベビー形補聴器の試用を行ったが,改善しなかった。2歳2カ月時,耳掛形デジタルプログラマブル補聴器を装用し,2歳4カ月時にはほぼ1日装用が可能となったが,家族が本症例の相手をしていない時に補聴器を外す傾向がみられた。耳介が小さいため耳掛形は装用しにくいが,3歳頃より常用が可能になった。(2)聴性行動:TVや音楽に関心を示す,戸外の物音に気付く,発声の種類の増加や抑揚がつくなどの発達がみられた。(3)言語発達;場面の文脈的てがかりを必要とするが、簡単な言語指示,身体部位名,身近な人や事物の名称など30単語程度の理解,5車語程度の発語や音声模倣がみられるようになった。(4)コミュニケーション:発声を伴う指さしなど意図的な伝達行動,相互交渉の継続などが可能になった。4.まとめ二重複障害児においては個々の症例の補聴器装用に関する問題点や発達段階に対応した補聴器選択や指導が重要と考えられる。
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[Publications] 玉井ふみ,進藤美津子,山埼和子,堀江真由美,冨田豊: "難聴を伴う重複障害児の補聴器装用指導-症例報告-" 音声言語医学. 40巻1号. 46 (1999)