1999 Fiscal Year Annual Research Report
日本語の談話におけるスピーチレベルシフトの機構とその指導法
Project/Area Number |
10680302
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 勢紀子 東北大学, 留学生センター, 助教授 (20205925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 悦子 東北大学, 留学生センター, 講師 (10238462)
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Keywords | 談話 / スピーチレベルシフト / 日本語学習者 / 会話指導 |
Research Abstract |
今年度は,初年度に引き続き,日本語学習者を対象に対話の実態調査を行い,その結果を研究資料としてデータ化した。これを初年度のデータと合わせて分析し,日本語母語話者と日本語学習者のスピーチレベルシフトの様態がどのように違うかを明らかにした。その上で,レベルシフトの仕方に重点をおいた会話指導の方法について検討した。データ収集・分析の経過の詳細は次のとおりである。 1.会話中にレベルシフトが起こる可能性のある2人ずつの組合せができるように日本語学習者12名の被験者を選定し,彼らと資料収集補助の母語話者2名の組合せにより,母語話者と学習者24組のペアを作った。 2.それぞれのペアに異文化接触に関する様々な話題のビデオを見せ,それについての対話を録音した。使用したビデオは初年度の実験で用いたものと同一である。 3.被験者の同意を得た上で,プライバシーの保護に留意しつつ録音資料をデータ化し,研究資料を作成した。 4.初年度に得られた母語話者・学習者各12名の対話データと合わせ,談話の中の文末形式に着目して分析を行った。まず,すべての文末を丁寧体をとる文末と普通体その他の形式をとる文末に大別し,さらに終助詞の使用状況等によって細かいレベル分けを行った。その上で,談話の中でのスピーチレベルシフトの様態について,母語話者と学習者の間の異同を検討した。 5.結果として,丁寧体ベースの談話において,母語話者ではスピーチレベルシフトがほぼ一定の共通したルールに従って起こるのに対し,学習者においてはそうしたルールから外れるレベルシフトの頻度が高いことが明らかになった。
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