1998 Fiscal Year Annual Research Report
ピッチとアンプリチュードが日本語長母音の拍数知覚に果たす機能の解明
Project/Area Number |
10680311
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
馬場 良二 熊本県立大学, 文学部, 助教授 (30218672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐川 毅 熊本大学, 工学部, 助教授 (30160229)
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Keywords | 拍数の知覚 / 長母音 / 日本語 / ピッチ / アンプリチュード / デュレーション |
Research Abstract |
「こおです」「こおおです」の2文を、アクセントを強、中、弱の3段階、話速を速、遅の2段階で発声、録音した。これら計12の音声をどのように聞き取るか、聴取実験を行った。また、鮎澤孝子らの研究による「東京語アクセントの聞き取りテスト」のテープでも行った。両調査の結果を比較、検討したが、有意な相関は見られなかった。「こおです」の「こお」を2拍、「こおおです」の「こおお」を3拍と知覚するにはピッチが影響を与えていることは我々の先行研究から明らかである。そこで、後者の調査で成績のよい被験者は前者の調査でも知覚が安定していると考えたのだが、仮定と結果は食い違った。長母音の拍数の知覚にはピッチだけでなく、デュレーション、アンプリチュード等のいくつかの要素が関与しているに違いないこと、また、アクセントの聞き取り能力が高いことが、そのままピッチに敏感であることを示しているとは限らないことによるのであろう。言語音声の長さ、高さ、強さはそのまま物理的なデュレーション、ピッチ、アンプリチュードと同義ではない。長い、高い、強いと知覚されるにはデュレーション、ピッチ、アンプリチュードが複雑にからみあった機構が存在すると考えられる。今後は、ピッチではなくアンプリチュードに注目し、長母音の拍数の知覚にどのように関与しているかを探っていきたい。
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