1999 Fiscal Year Annual Research Report
対照言語学的視点・手法にもとづく、日本語とタイ語の基本語彙・語法に関する比較研究
Project/Area Number |
10680312
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
田中 寛 大東文化大学, 外国語学部, 教授 (60207131)
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Keywords | タイ語受動文 / 意味上の受動文 / タイ語の連体節 / タイ語の引用節 / タイ語の補文節 / 日本語の補文標識 / 日タイ語対照初級文型 / 日タイ語対照中級文型 |
Research Abstract |
今年度はタイ語と日本語のヴォイス(態)の研究の中でも特に受動文の対照比較を重点的に行い、実際の用例をカードベース化するとともに、タイ語母語話者へのアンケート調査なども実施して、双方の用法の重なりと個別的な用法の観察、分析を行った。特に日本語で受動文の形式をとるものがタイ語では受動文の形式をとらない、謂ゆる自動詞構文の意味上の受動文のいくつかのタイプについて詳しく記述した。その成果の一部は早稲田大学日本語研究教育センター刊行物『講座日本語教育』にて発表した。 また、複文の研究の一環として補文節・引用節、連体修飾節を構成する補文標識waaとthiiの構文的な機能について実際の用例にもとづきながら分類・考察した。同時に述語動詞となる発話・伝達動詞,心理思考動詞,視覚・認知動詞などの分類も一部行った。日本語の補文標識「ノ」「コト」「ト」などとの対応、非対応の現象についても考察した。これらの研究の成果の一部は『大東文化大学紀要』(人文科学編)にて発表した。 このほか試用版として日タイ語対照初級・中級文型文例集を編集し、校訂を進めながら名詞述語文、動詞述語文、形容詞述語文に沿って、文法記述研究を進めた。これらの作業はタイ人日本語学習者向けの日本語教材開発、作成にも資することが期待される。 今年度はさらにタイに研究調査を実施した。バンコクの国立チェラローンコーン大学、タイ政府法人泰日経済技術振興協会附属語学センター,国際交流基金日本語センターを訪問し、資料収集を行うと同時に、複数のタイ人研究者、教員とも意見交換を行った。 以上、初年度の研究内容をさらに進展・充実させ、最終年度の完成を念頭におきながら研究を進めた。
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Research Products
(2 results)