1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680341
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
笠井 琢美 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (70027382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武永 康彦 電気通信大学, 電気通信学部, 講師 (20236491)
岩田 茂樹 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80102028)
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Keywords | 形式言語理論 / 木オートマトン / 機械翻訳 / TAG / 文脈自由木オートマトン / 計算量 / プッシュダウン・木オートマトン |
Research Abstract |
本年度の研究では、自然言語の分野で現在注目されているTree Adjoining Grammar(以下ではTAGと略す)を、形式言語理論の立場から見直し、いろいろな新しい結果を得ることができた。特に、形式言語理論で従来から研究されている、文脈自由木文法に自然な制限を与えることにより、Spine Grammarと呼ぶ新しい文法を定義した。この文法のクラスは、TAGと同じ文字列言語のクラスを定義し、TAGより自然な木言語のクラスを生成する。Spine Grammarは文脈自由木文法と同様、形式的に扱いやすく、いくつかの単純な標準形に変換できることを示した。 さらに、解析モデルに関しては次の結果を得た。プッシュダウン・木オートマトンに線形という条件をつけた線形プッシュダウン・木オートマトンを導入した。この線形という条件は、木の各節点の一つの子供だけにプッシュダウン記憶の内容を伝え、他の子供のプッシュダウン記憶は初期化するといった、自然な制限である。この、線形プッシュダウン・木オートマトンによって受理される木言語のクラスは、Spine Grammarにより生成される木言語のクラスと一致することを示した。このことより、Spine Grammarにより生成される木言語のクラスは、認識可能木言語のクラスと文脈自由木言語のクラスの中間に位置する自然な木言語クラスであることが特徴づけられた。 この新しい文法モデルは、現在開発中の機会翻訳機の文法モデルの機能の一つを形式化したものである。実際に機械翻訳で用いているモデルは、拡張範疇文法と呼ばれ、さらに多くの機能を持っている。これらの機能を文法モデルとして形成化し、計算量について議論する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 藤芳明生: "Tree Adjoining Grammarの文脈自由木文法による特徴づけ" 情報基礎理論ワークショップ. 34-39 (1998)
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[Publications] 藤芳明生: "線形プッシュダウン・木オートマトン" 京都大学数理解析研究所講究録. 採録決定. (1999)
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[Publications] Akio Fujiyoshi: "Spinal-formed context-free tree grammars" Theory of Conputing Systems. to appear. (1999)
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[Publications] Yasuhiko Takenaga: "NP-completeness of identifing minimum OBDD for monotone functions" 電子情報通信学会技術報告. COMP98-29. 67-74 (1998)