構造的意味表現が可能なフレーム構造論理の構築と自然言語の意味解析への応用

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 10680369
• Research Institution: Yamagata University
• Principal Investigator: 西原 典孝 山形大学, 工学部, 助教授 (00202242)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 小松 香爾 山形大学, 工学部, 助手 (90282243) ; 横山 晶一 山形大学, 工学部, 教授 (20250946)
• Keywords: 論理体系 / フレーム表現 / 意味論 / 自然言語意味解析

Research Abstract

本年度は,動詞概念の取り扱いを中心に,フレーム構造論理の拡張とその応用に関して,以下のような研究を行った.
1.体系の拡張:自然言語においては,「太郎が花子を愛する」等の動詞文を「太郎が花子を愛すること」等のように名詞概念化できる.このような現象を踏まえ,動詞文自体も一つのオブジェクトとして捉え,名詞概念と同様に扱うという手法をフレーム構造論理に取り入れた.このような扱い方は,動詞文を多項関係と捉える従来の述語論理的手法とは本質的に異なり,いわば自然言語の意味表現法により密接した手法であるといえる.これによって,述語論理的枠組みでは高階述語を必要とするような文の意味も表現可能となった.このような体系の構文と集合論的意味論を厳密に定義した.
2.自然言語意味解析への応用
本拡張体系を土台に,実際の日本語文における修飾部に動詞文を伴うような連体修飾表現についての意味解析を行った.特に,「サンマを焼く匂い」や「学校を休む理由」等のような,高階的な意味を持つ「外の関係」と呼ばれる連体修飾句について,その意味構造を分析し,これらの意味を特別な拡張無しに本体系で表現することができることを示した.