1999 Fiscal Year Annual Research Report
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10680374
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
赤木 正人 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 教授 (20242571)
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Keywords | 雑音 / 残響 / 聴覚機構 / 基本周波数 / キャンセレーション / 雑音抑圧 |
Research Abstract |
本研究の目的は、人間の聴覚機構に存在する選択的聴取機構について、計算機による聴覚情景解析の考え方にそって、選択的聴取機構の数理的本質を明らかにし、これを計算機上に実現することによって、雑音・残響が存在する実環境においてさえも目的信号音を忠実に再現できるシステムを実現することである。そこで、本年度は、(1)雑音中の音声を抽出するための手がかりの検討、および、(2)少数マイクロホンによる目的音と雑音の推定方法の検討、を行なった。得られた結果は以下の通りである。 1.雑音中の音声の抽出 Bregmanによって提唱された四つの発見的規則を物理的制約条件として捕らえ直すことにより、調波復号音と雑音を分離する二波形分離モデルを提案した。また、入力位相に関する制約条件を再考し、これを正確に求める方法を考案することで、波形レベルで正確に雑音中の母音を分離抽出できるモデルを新たに提案した。また、雑音中の音声からその基本周波数を推定する方法を提案した。この方法は、聴覚内に存在すると考えられているキャンセレーションのモデルを応用した方法であり、雑音中では従来成し得なかった高精度の基本周波数推定が可能となった。基本周波数は、人間の聴覚機構に存在する選択的聴取機構で用いられている重要な手がかりであり、これを高精度で推定できたことは、今後の研究に大いに貢献するもとと考えられる。 2.少数マイクロホンによる目的音と雑音の推定 3本のマイクロホンのみを用いて、雑音中から音声スペクトルを抽出する方法を提案し、その有効性について、音声認識前処理実験、実環境での雑音除去実験を通して検討を行った。これより、従来のdelayed-sum法あるいはGriffith-Jim法以上の雑音抑圧結果が得られた。また、雑音抑圧音声の客観評価を目的として、継時マスキングを考慮した評価尺度の検討を行った。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Unoki,M.and Akagi,M.: "A method of signal extraction from noisy signal based on auditory scene analysis"Speech Communication. 27,3-4. 261-279 (1999)
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[Publications] 水町,赤木: "マイクロホン対を用いたスペクトルサブトラクションによる雑音除去法"電子情報通信学会論文誌. J82-A,4. 503-512 (1999)
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[Publications] 鵜木,赤木: "聴覚の情景解析に基づいた雑音下の調波復合音の一抽出法"電子情報通信学会論文誌. J82-A,10. 1497-1507 (1999)
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[Publications] Unoki,M. and Akagi,M.: "Segregation of vowel in background noise using the method of segregating two acoustic sources based on auditory scene analysis"Proc.CASA99, IJCAI-99, Stockholm. 51-60 (1999)
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[Publications] Mizumachi,M. and Akagi,M.: "An objective distortion estimator for hearing aids and its application to noise reduction"Proc.EUROSPEECH99. 2619-2622 (1999)
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[Publications] 石本,赤木: "雑音が付加された音声の基本周波数推定と雑音抑圧"電子情報通信学会 音声研究会. (平成12年3月発表予定). 2000