1999 Fiscal Year Annual Research Report
BOT方式による発展途上地域における広域インフラストラクチャー整備に関する研究
Project/Area Number |
10680418
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 久敏 筑波大学, 社会工学系, 教授 (10108219)
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Keywords | BOT / PFI / プロジェクトファイナンス / 公共インフラストラクチャー / 国際協力 / リスク分散 |
Research Abstract |
BOT方式は事業リスク分散の方式と見なすことができる。国際公共インフラともなるとその事業規模も大きいため、事業リスクが極めて大きく、一国あるいは一建設会社が事業化するのが困難なことが多い。そこで建設会社は有限責任の事業子会社を設立することで事業化失敗時のリスクを親会社と切り離し、建設技術開発や建設期間の遅れ等に関わるリスクだけを負うことにする。国際公的融資機関・金融会社などの投資団としては、経済力が小さく、一般に政情不安のある発展途上国に直接融資するリスクを回避して、技術力・信用力のある先進国の事業会社に融資することで資金回収リスクを軽減できる。また、現地国も自ら資金調達せずに、先進国の高い技術と信用力に支えられた低金利の事業資金で安価に公共インフラを手に入れることができ、事業リスクを負わずに済む。この事業リスク分散の構造そのものがBOT方式の根幹であると思われるので、本研究ではこのリスク分散の仕組みを数学モデルに表現し、その効果を定量的に明らかにすることを目的としている。 平成11年度は、BOT方式によって建設された国際公共インフラの代表例として著名なオーストラリアのシドニーハーバートンネルの実態と建設後の状況を調査研究予定であったが、都合により調査研究を後年度に回し、本年度はBOT方式と非常に密接な関係があり、かつ日本においても昨年度制度化されたPFI方式(Private Financial Initiative)についての調査研究を行った。さらに、国際公共インフラの代表例として、日本グローバルインフラストラクチャ研究財団が中心となって調査研究を進めている「東ヒマラヤ水系超広域河川管理のための多目的複合ダム建設」を取り上げ、その建設の効果についての研究を行い、日本オペレーションズ・リサ-チ学会インフラストラクチャ問題研究部会にて研究発表を行った。
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