1998 Fiscal Year Annual Research Report
不完全デバッグ環境下におけるソフトウェアの信頼性評価法とその応用に関する研究
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10680431
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
山田 茂 鳥取大学, 工学部, 教授 (50166708)
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Keywords | ソフトウェア信頼性 / 不完全デバッグ / 定量的信頼性評価 / ソフトウェア信頼度成長モデル / 可用性評価 / 安全性評価 / 人的要因分析 |
Research Abstract |
従来の動的環境(ソフトウエア開発のテスト工程や実際の運用段階)におけるソフトウェア信頼性の定量的評価技法を整理した上で,不完全デバッグ要因と実現されるソフトウェア信頼性との関係を分析した.その結果,ソフトウェア故障発生時のデバッグ作業の不確実性よりも,むしろ新規フォールトの作り込みという不完全性に着目し,不完全デバッグはフォールトを修正・除去する際に新規にフォールトが混入することにより発生するものと仮定した.これにより,実際のデバッグ過程をよく反映するソフトウェア信頼度成長モデルを,非同次ポアソン過程(NHPP)に基づいて構築できた.このとき,デバッグ過程で作り込まれるフォールトはランダムに潜入し,元々潜在する固有フォールトのデバッグによる信頼度成長過程は,NHPPに基づく指数形ソフトウェア信頼度成長モデルおよびS字形ソフトウェア信頼度成長モデルにより記述した.特に,構築されたモデルから不完全デバッグにより潜入したフォールト数の推定法を考察し,不完全デバッグ環境に適切な信頼性評価尺度とモデルパラメータの推定値を導出した.従来モデルとの実測データに対する適合性比較においても,本モデルの適合性は良好であった.また,上記のデバッグ作業の不確実性による不完全デバッグ要因を考慮して,ソフトウェア安全性およびソフトウェア可用性を評価するためのソフトウェア信頼性評価モデルも構築できた.さらに,ソフトウェア信頼性に影響を及ぼす人的エラーおよび人的要因を分析するための実験モデルの枠組みを設計し,不完全デバッグ要因を抽出・評価するための基礎実験も行った.
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Research Products
(12 results)
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[Publications] Takashi Miki: "Imperfect Debugging Models with Introduced software Faults and Their Comparisons" Proc.of 4th China-Japan Intern.Symp.Industrial Management. 278-283 (1998)
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[Publications] Koichi Tokuno: "Markovian Software Safety/Reliability Measurement with Imperfect Debugging" Proc.of 4th ISSAT Intern.Conf.Reliability and Quality in Design. 56-60 (1998)
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[Publications] 山田 茂: "ソフトウェア信頼性評価技術:理論と応用" 日本信頼性学会誌(信頼性). 20・7. 455-462 (1998)
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[Publications] 山田 茂: "コードレビューにおける人的エラーと人的要因に関する考察" 電子情報通信学会論文誌(A). J81-A・9. 1238-1246 (1998)
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[Publications] 得能貢一: "運用段階におけるソフトウェア・アベイラビリティ評価モデル" 日本ソフトウェア科学会誌(コンピュータソフトウェア). 15・3. 17-24 (1998)
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[Publications] Koichi Tokuno: "Markovian Software Availability Modeling with Degenerated Performance" Proc.of European Safety and Reliability Conf.1998. 425-431 (1998)
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[Publications] 田中正敏: "コスト制約下での納期を考慮したソフトウェア最適リリース問題に基づくテスト労力配分方策" 日本経営工学会論文誌. 49・3. 178-187 (1998)
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[Publications] Hideya Fujiwara: "Software Testing-Management Tool Based on Object-Oriented Analysis and Its Application" Proc.of 4th China-Japan Intern.Symp.Industrial Management. 272-277 (1998)
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[Publications] 得能貢一: "二種類の修復作業を考慮した運用階段におけるソフトウェア・アベイラビリティモデルの構築" 第18回ソフトウェア生産における品質管理シンポジウム報文集. 193-200 (1998)
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[Publications] 山本美保: "ソフトウェア信頼性評価ツールの導入〜ソフトウェア信頼度成長モデルの適用と評価〜" 第18回ソフトウェア生産における品質管理シンポジウム報文集. 201-208 (1998)
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[Publications] 得能貢一: "ソフトウェア安全性を考慮した最適リリース問題に関する考察" 統計数理研究所共同研究レポート113「最適化:モデリングとアルゴリズム12」. 1-12 (1998)
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[Publications] 山田茂: "コスト評価基準に基づくソフトウェア信頼性/安全性を考慮した最適リリース問題" 電子情報通信学会論文誌(A). J82-A・1. 64-72 (1999)