1998 Fiscal Year Annual Research Report
退職金年金政策をともなう起業行動とその影響に関する実証研究
Project/Area Number |
10680435
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高橋 正子 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (20129513)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 行治 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (10129421)
|
Keywords | 退職給付(退職金年金) / 企業行動 / 会計手続 / 経営目標 / キャッシュフロー |
Research Abstract |
日本の企業の退職給付に関する会計基準は,平成11年に大幅に改正される.それにとしない,多くの企業が新たな選択行動をおこなうと予測される.本研究では今年度は改正に先立つデータ収集とともに,理論と実証の両面から退職金年金政策をともなう企業行動とその影響に関する実証準備をおこなった.まず,平成10年6月16日に公表されたわが国の退職給付会計基準に関する理論上の問題点を明らかにした.すなわち,資産・負債,費用・収益の総額・両建て計上方式ではなく純額・差額計上方式を基準に採用したことによる経営分析的観点からの問題,将来支給額の割引現在価値を測定する際の利子率にリスクを考慮する問題,発生給付評価方式と期末要支給額方式との関係,数理計算上の差異の処理方法に関する問題である.次に,企業の経営目標が近年の企業外部の評価基準の変化,株主重視および企業が稼いだキャッシュフロー重視とにともなって変化しており,その経営目標が企業行動を決定するひとつの要因であることを,退職給付と同様に利益に対する影響の大きな減価償却方法の選択問題において明らかにした.さらに,会計基準にしたがって開示された財務会計情報はデータベース化され,市販されて,最も一般的な企業情報となるが,データベース化にともなう情報の取捨選択,統計的分析手法の高度化によるブラックボックス化が,企業評価が企業実態と乖離する危険について考察した.こうした結果をふまえて,平成10年までの日本の上場および店頭公開企業の会計手続およびキャッシュフローを中心に企業行動に関するデータを収集し,独自のデータベースの充実を図った.
|
Research Products
(2 results)