1999 Fiscal Year Annual Research Report
次の南海地震津波時における四国沿岸域住民の避難および被災軽減対策
Project/Area Number |
10680446
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
村上 仁士 徳島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50027257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上月 康則 徳島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60225373)
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Keywords | 津波災害 / 四国の津波 / 津波被災の軽減 / 津波被害予測 / 南海地震津波 / 津波数値シミュレーション |
Research Abstract |
本研究は、21世紀前半にも起きるといわれる南海道地震津波に対し、四国沿岸域における現況での被害予測を行うとともに、被害軽減対策を提案することを目的としたのものである。とくに、人的被害予測手法を開発し、沿岸集落における具体的な避難法を明示して人的被害軽減に寄与しようとするものである。 本年度は、これまで続けてきた四国における歴史地震・津波資料の収集、現地調査を継続して実施し、各県に関する地震・津波記録の文献整理を行い、災害実態をとりまとめた。 一方、津波が陸上に遡上し、氾濫した場合、従来は最終的な浸水域の範囲から津波の犠牲者数を予測していたが、実際には地震発生から数分して、人間は避難行動を起こすはずであり、避難行動を考えれば従来の方法から得られる犠牲者数は過大評価がなされていることになる。したがって、ここでは人間の避難行動を考慮した津波のシミュレーションを行い、人的被害の評価の精度をあげる方法を提案した。具体的には高知県土佐市のU町を対象として、人的被害発生のメカニズムの解明と人的被害者数の予測を行った。GIS(地理情報システム)を利用して、浸水状況の時間変化、経路の選択を行いつつ避難場所への移動状況を示すことにより、避難途中で浸水深が深く進行不可能となること、あるいは避難経路が閉ざされ進行が不可能となるなどの溺死の発生機構が明らかになった。また、避難開始時間を5分ずつ早め、それぞれの被害者数を求めた結果、被害者数は指数関数的に減少することが定量的に把握できた。しかしながら、本研究では、溺死の条件を浸水深が50cm(これは大人の膝以上になれば、歩行不可能という聞き取り調査による)としているが、浸水した道路の流速が早い場合には、この値以下でも被災の恐れがあるなど、今後さらなる検討を要する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 島田 富美男: "津波による人的被害予測に関する一考察"海岸工学論文集(土木学会). 第46巻. 361-365 (1999)
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[Publications] 山本尚明: "沿岸域集落の津波危険度に関する簡便的評価法"海岸工学論文集(土木学会). 第46巻. 36*-375 (1999)
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[Publications] 村上仁士: "高知市浦戸湾地域の津波浸水特性に及ぼす湾内外の地形改変の影響"土木学会四国支部第6回技術研究発表会講演概要集. (発表予定). (2000)
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[Publications] 村上仁士: "四国4県における地震・津波の記録と被害状況について"歴史地震. 第15巻(印刷中). (2000)