1999 Fiscal Year Annual Research Report
97年7月出水市針原川で発生した土石流の流動シミュレーションに関する研究
Project/Area Number |
10680447
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 晴行 九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70117216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畑 洋 九州大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60294542)
平野 宗夫 九州大学, 名誉教授 (50037850)
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Keywords | 出水市針原川土石流災害 / 土石流 / 崩壊 / シミュレーション |
Research Abstract |
1997年7月10日,鹿児島県出水市針原川において土石流が発生し,死者21名を出す災害となった.この土石流は,勾配26°の斜面で崩壊が発生した後,土石流化し,平均勾配6.8°の区間を流下し,勾配3.7°〜2.4°の区間において氾濫・堆積したものである. 本研究の目的は,この土石流の流動シミユレーション手法のための基本的事項を明らかにすることである.得られた結果は以下の通りである. (1) 針原川において発生した土石流の流動・堆積過程を明らかにするため,勾配の急減した水路において,上流側の土石流流下水路の勾配をθ_u=4°,6°とし,下流側の土石流堆積水路の勾配を,θ_d=2°として水路実験を行った.河床材料として粒径d=0,84mmの粗砂とd=0.17mmの細砂を用いた.粗砂の場合,勾配急減点において多量に土砂が堆積し,時間の経過とともに上流,下流に堆砂が進行していく.一方,細砂の場合,勾配急減点で堆積するのではなく.それより下流側で最も多く堆積し,堆砂は上流側にあまり進行しない. (2) 上述の(1)について数値計算を行い,実験結果と比較した. すなわち,運動方程式,全相連続式,固相連続式をマコーマック法を用いて差分化し,流量,水深,河床高を連立して計算した.境界条件は上流端で一定な流量と等流水深を,流砂量として平衡流砂量を与えた.下流端のBox差分を用いて計算した.初期条件としては,水深も流量も0とした.得られた計算結果は上述の実験結果(1)を良好に説明するものであった. 以上の結果は,針原川において発生した土石流の流動シミユレーション手法のための基礎をなすものである.
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[Publications] 平野宗夫,小川 滋: "97年7月針原川で発生した土石流災害の前兆現象-針原川災害の隠された教訓-"砂防学会誌. 51・6. 27-34 (1999)
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[Publications] Kichan Park,橋本晴行 帯山武敏,平野宗夫: "勾配急減による高濃度浮流砂流の堆積過程に関する実験"土木学会第54回年次学術講演会講演概要集第2部. 434-435 (1999)
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[Publications] 高岡広樹,Kichan Park 橋本晴行,高畑 洋: "比較的高濃度に流砂を含む流れの勾配急減による堆積過程"平成11年度土木学会西部支部研究発表会講演概要集第2分冊. 230-231 (2000)