1999 Fiscal Year Annual Research Report
水蒸気プラズマによる熱硬化性プラスチックの分解と資源化
Project/Area Number |
10680465
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
井原 辰彦 近畿大学, 工学部, 教授 (50133541)
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Keywords | 熱硬化性樹脂 / プラズマ化学反応 / 再資源化 |
Research Abstract |
昨年度の研究結果より,マイクロ波による水蒸気プラズマを利用した方法で熱硬化性樹脂の分解が容易に進むことが確認され,生成物として炭素数が1から5までのアルコールが主に生成することが認められた。しかし,これらアルコールへの転化率は数%程度であった。収量が低いのは,試料の位置をプラズマと接触する位置としたことによって,プラズマの熱による生成物の分解が進行したためと判断された。今年度はプラズマから離した位置に反応炉を設け,プラズマ中で生成した長寿命の活性種を作用させる方式で分解実験を行った。また,反応炉は温度制御できる構造とし,回転機構を設け一度に多量の試料の分解ができるようにした。 はじめに,プラズマ発光分析と残留ガス分析計により,プラズマ診断と活性種の分析を行った。その結果、水蒸気プラズマ中には水素原子とOHラジカルが効率よく生成していることがプラズマ診断より確認された。分解炉下流中には質量数1および2の水素原子および水素分子や質量数17の水酸ラジカルが検出され,分解炉にこれらの活性種が多量に供給されていることがわかった。実際に熱硬化性プラスチックとして不飽和ポリエステル樹脂を分解させ,生成物を冷却トラップで回収し,ガスクロマトグラフ-質量分析計による分析を試みた。その結果、アセトン,プロパノール,エチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール他,約20種の生成物を確認した。前年度のプラズマに接触させた時の生成物とは異なった成分が多く見られ,比較的穏やかな雰囲気で分解が進行したことが予想された。収率は現在計測中であるが,前年度対比改善されている。次年度はさらに収量を改善できる実験条件の検索を行う予定である。
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