1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680484
|
Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
桑野 寿 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (90002899)
|
Keywords | 原子力発電 / 経年劣化 / メスバウアー分光法 / 寿命予測 / スピノーダル分解 / 脆化 |
Research Abstract |
助成金で豊富な数のシャルピー試験片および引張試験片を作製することができたので、予定どおりの試験を行い成果が得られ、さらに来年度以降の研究に繋げることができた。補助金で購入したワイヤカッターでメスバウアー効果や電子顕微鏡用の薄板作製を効率的に行うことができた。 ・ステンレス綱溶接部の熱時効による靭性の低下を確認した。350℃-10000h時効後のシャルピー衝撃値は時効前の73Jから60Jまで減少したが、1/2まで低下させるにはさらに40000h(5年間)の延長が必要と予測され、現在時効を継続中である。 ・脆化を促進するため375℃と425℃での時効も行い、シャルピー衝撃値の時効温度・時効時間変化から活性化エネルギーQ=125kJ/molを求めた。シャルピー衝撃値の変化を双曲線正接関数で整理して320℃においてはシャルピー衝撃値が初期値の1/2まで低下するまでに1,000,000hを要するとの結論を得た。 ・シャルピー衝撃値の低下はメスバウアー効果で測定されるフェライトの相分離の分解率の時間変化と良い対応を示すので、相分離の進行程度から脆化の度合いを診断できることが解った。しかし、当初の予測より衝撃値低下の速度が遅く、実用上の問題となる30J付近のデータを得ることができなかった。400℃-20000h時効が必要で、さらに来年度以降も研究を継続して長時間データを蓄積することとした。 ・昨年度までに得られたメスバウアー効果による450℃での時効挙動研究を日本鉄鋼協会論文誌:鉄と鋼、Vol.85,(1999),pp.51-56に発表した。今年度の秋までに得られた成果は日本鉄鋼協会秋季講演大会(CAMP-ISIJ Vol.12(1999)p.1207)で口頭発表した。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] 工藤之裕,桑野寿,三浦孝之,吉村敏彦,石川雄一: "ステンレス綱溶接部の熱時効による2相分離"鉄と綱. 85・11. 51-56 (1999)