2000 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子ビーム輝度増強用希ガス固体リモデレーターの開発
Project/Area Number |
10680490
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西嶋 茂宏 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (00156069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 徳雄 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (80195370)
田川 精一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (80011203)
誉田 義英 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (40209333)
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Keywords | 希ガス固体 / 陽電子 / リモデレーター / Sバラメーター / 結晶性 / 拡散距離 |
Research Abstract |
希ガス固体を用いた陽電子リモデレーターの使用は、高輝度陽電子ビームを得ることのできる手法のひとつである。そこで、本研究では、希ガス固体リモデレーターを製作し、加速器を使用して発生させた陽電子ビーム系に輝度増強部として挿入する形態でシステムを構築した。この希ガス固体を用いた陽電子リモデレーターで高品位な陽電子ビームを製作することを目的としている。実験は、大阪大学産業科学研究所放射線実験所の陽電子ビームラインを用いて行った。用いた希ガスはアルゴンで、冷凍機を用いて固体アルゴンの製作を行った。 再放出効率の測定を行う前に、製作した固体アルゴンの結晶性の評価を行った。高効率のリモデレーターを製作するためには、リモデレーター内に陽電子のトラップサイトが存在しないことが重要であるからである。固体アルゴン製作時のアルゴンの分圧、温度、製作時間を調整することにより結晶性や膜厚の制御を行い製作した固体アルゴンそれぞれについて、Sパラメーターの測定を行い、最適な製作条件の評価を行った。陽電子の固体アルゴン中での拡散距離を考慮すると、高効率のリモデレーターを製作するための、製作時間の目安を得ることができた。 Sパラメーター測定より得られた、製作条件の下で製作した固体アルゴンリモデレーターの再放出効率の測定を行った。その結果、一般に使われているタングステンリモデレーターの1.3倍の再放出効率を有する固体希ガスリモデレーターを開発することができた。また、得られたビームのエネルギー拡がりは、FWHM(Full Width Half Maximum)が440eVの入射ビームが、固体希ガスリモデレーターを用いることにより7.7eVとなり、単色化されたことを確認した。本研究により、固体希ガスリモデレーターを用いることにより、高品質な陽電子ビームが得られたと言える。
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