1999 Fiscal Year Annual Research Report
環境中におけるエストロゲン様物質の検索と魚類への影響・蓄積機構に関する研究
Project/Area Number |
10680496
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Research Institution | Tokyo University of Fisheries |
Principal Investigator |
橋本 伸哉 東京水産大学, 水産学部, 助手 (10228413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 晃 東京水産大学, 水産学部, 教授 (30101041)
羽曽部 正豪 東京水産大学, 水産学部, 助教授 (10218464)
原 彰彦 北海道水産大学, 水産学部, 教授 (40091483)
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Keywords | マコサレイ / ビテロジュニン / 海産魚 / 海洋環境 / 内分泌かく乱物質 / イムノアッセイ |
Research Abstract |
本研究では東京湾に生息するマコガレイ(Pleuronectes yokohamae)を対象として、血清中のVTGとステロイドホルモン(テストステロン・17β-エストラジオール)の測定、並びに生殖腺の組織観察を行い、対照区(北海道知内沖)のマコガレイと比較することで、東京湾のマコガレイが内分泌かく乱物質により影響を受けているかどうかを調べることを目的とした。 -実験-生きたマコガレイから注射器で採血し、4℃で一晩静置した後、遠心分離を行って血清を得た。血清試料は分析時まで-40℃で保存した。採血後、体長・体重を紀録し、解剖して生殖腺重量の体重に占める割合(Gonadosomatic index:GSI)と肝臓重量の体重に占める割合(Hepatosomatic index:HSI)を求めた。マコガレイ血清中のVTG・ステロイドホルモンは、抗原抗体反応を利用した酵素免疫定量法にて測定した。生殖腺は重量を測定した後、約24時間ブワン液に浸してから70%-エタノールに移し変えて組織を固定した。組織を脱水してパラフィン中に包埋した後、厚さ5μmの組織切片を作製してへマトキシリンとエオシンで細胞を染色し、光学顕微鏡による組織観察を行った。 -結果- 対照区の雄血清中のVTGは、産卵期においで僅かに検出されたが(31〜91ng/ml)、それ以外の時期では検出限界(約1.6ng/ml)以下であった。これはマコガレイの生殖に伴う自然な季節変化であると思われる。しかしながら東京湾の雄は年間を通じて高い濃度のVTG(25〜2200ng/ml)を示した。東京湾の雄についてVTG濃度と体長・体重・ステロイドホルモン・GSI・HISとの間に有意な相関は見られなかったが、GSIが2%以下の雄において特にVTG濃度の高い個体が集中していた。生殖腺の組織観察を行った結果、東京湾の羽田沖で採取した雄20体中3体の精巣内に、僅かではあるが卵母細胞が存在していることが観察された。対照区の雄(62体)ではこのような精巣は見られず、雌においてはVTG・生殖腺ともに両区の間に何らの違いは見出せなかった。以上の結果は、東京湾に生息するマコガレイが内分泌かく乱物質の影響を受けている可能性を示唆している。組織観察の結果から、東京湾のマコガレイが生殖に支障をきたす程深刻な状況ではないと考えられるが、雄の精巣内から雌の卵母細胞が観察されたことは、沿岸域に生息する魚類が、内分泌かく乱物質の影響を受けて生殖障害を起こし得るとする警鐘になるものと思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 橋本伸哉: "Elavated serum vitellogenin levels and gonadal abnormalities in wild male flounder (Pleuronestes yokohamae) from Tokyo Bay, Japan"Marine Enviromental Research. 49. 37-53 (2000)
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[Publications] 橋本信哉: "Vitellogenin in Wild Male Flounder, Pleuronectes yokohamae, in Tokyo Bay, Japan"Japanese Journal of Environmental Toxicology. 1. 75-85 (1998)
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[Publications] 別所宏紀: "Development of sensitive luminometric immunoassay for determining baseline seasonal changes in serum vitellogenin levels in male flounder"Intern. J. Environ. Anal. Chem. (印刷中).
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[Publications] 橋本信哉: "魚類血清タンパク成分への影響-東京湾について-"日本水産学会誌. 64. 901-902 (1998)
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[Publications] 橋本信哉: "環境ホルモンの海産魚類に対する影響 東京湾産マコガレイを例として"沿岸海洋研究. (印刷中).