1999 Fiscal Year Annual Research Report
水環境因子の水生生物に対する環境ストレスと生物応答
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10680507
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Research Institution | TOKYO UNIVERSITY OF PHARMACY AND LIFE SCIENCES |
Principal Investigator |
貝瀬 利一 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (20266894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 祥子 東京薬科大学, 生命科学部, 講師 (30266895)
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Keywords | ヒ素 / 水生生物 / クラミドモナス / アルセノ糖 / ジメチルアルシン酸 |
Research Abstract |
(1) 淡水性単細胞藻類クラミドモナスに取り込まれた無機ヒ素の藻体内代謝物の確認を行うため、化学形態別ヒ素化合物の分離定量法HPLC-ICP-MSシステムの改良を行った。すなわち、C-18逆相ポリマーを充填したセミミクロカラムをセミミクロ用高速液体クロマトグラフポンプに接続して、ヒ素化合物を分離し、インターフェイスを通してICP-MSに接続した。ヒ素化合物はマロン酸緩衝液で溶離し、検出感度ならびに精度共従来の方法に比べてすぐれていた。このシステムでは煩雑な試料調製を必要とせず、さらに分析試料が従来の1/5〜1/10量で、無機ならびに有機ヒ素化合物8種類を5分以内で分離定量することが可能であった。本法によりセミミクロカラムの特徴である高分離能が得られ、さらにアルゴンガスの消費量を1/5以下に抑えることが可能となった。 (2) クラミドモナスのヒ素感受性株AS-1(平成10年度科研費にて変異株を作成)を0.45mMのヒ酸を含むTAP培地で48時間培養した。ヒ素の藻体内化合物についてHPLC-ICP-MSにより検討したところ、ヒ酸、亜ヒ酸、メチルアルソン酸ならびにジメチルアルシン酸が検出され、その主要代謝産物はジメチルアルシン酸であった。またHPLC-ICP-MSのクロマトグラム上に2種類の未知ヒ素化合物が観察され、GC-MSの結果からジメチルヒ素と結合したアルセノ糖が考えられた。藻体中の総ヒ素濃度は培地中のヒ酸濃度が高くなるにつれて増加したが、ヒ酸濃度が低いほど藻体中で亜ヒ酸への変換率が高くなり、それに伴いジメチルアルシン酸の生成速度が速くなるという現象を見いだした。 (3) クラミドモナス藻体中でヒ素のメチル化が行われていることが明らかとなったため、クラミドモナスの細胞抽出液を作成し、無機ヒ素、メチルコバラミン、S-アデノシルメチオニン、グルタチオンを加えてインキュベートを行った。しかし、それぞれの基質濃度を変えても無機ヒ素のメチル化は観察されなかった。本研究でヒ素のメチル化は無機ヒ素濃度とS-アデノシルメチオニンならびにグルタチオンの存在量に依存していると考えられた。メチル化条件の検討をさらに詳細に行ってメチル化機構の分子生物学的解明を行う予定である。
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[Publications] T.Kaise,S.Fujiwara,M.Tsuzuki,T.Sakurai,T.Saitoh,C.Matsubara: "Accumulation of aresenic in a unicellular alga chlamydomonas reinhardtis"Applied Organomeallic Chemistry. 13. 107-111 (1999)
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[Publications] S.Fujiwara,I.Kobayashi,S.Hoshino,T.Kaise,K.Shimogawara,H.Usuda,M.Tsuzuki: "Isolation and characterization of arewc-sensitive and resistant mutants of chlamydomonas reinhardtis"Plant Cell Physiology. 41. 77-83 (2000)
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[Publications] 貝瀬利一: "水環境中の重金属の存在形態と動態-特に水銀とヒ素を中心として-"水環境学会誌. 22. 8-12 (1999)