1998 Fiscal Year Annual Research Report
高酸素暴露による酸化的ストレスに対するラジカル捕捉剤の有効性
Project/Area Number |
10680520
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
斎藤 貴江子 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (10162190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 寿 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教授 (90046300)
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Keywords | PBN(N-t-α-phenyl-butylnitrone) / 酸化的ストレス / フリーラジカル / ラジカル捕捉剤 / Nitric oxide / 酸素暴露 |
Research Abstract |
酸素過剰状態による酸化的ストレス下においたマウスの血液、尿、および脳中のNO酸化物であるNO_2生成をNO_xアナライザーによって測定し、影響を調べた。 その結果、正常な大気中で飼育されたマウスに比べて3日間高酸素状態(酸素流量2l/min)におかれたマウスの血中、尿中、脳におけるNO(一酸化窒素)濃度は、有意に増加した。これは、高い酸素濃度によって増加した活性酸素の傷害で血管が収縮した結果、血管弛緩作用によりNOが放出されたためであると考えられた。また、このNOの増加は、NOS inhibitor(NO合成酵素阻害剤)の投与によって阻害された。しかし、この酸素過剰状態におかれたマウスにラジカル捕捉剤であるN-t-α-phenyl-butylnitrone(PBN)を投与した場合では、NO2の増加は血中では見られず、逆に正常の大気中で飼育した場合のNO2量まで低下したことから、PBNは過剰の酸素によって発生した活性酸素などの消去剤としての効果をあらわした。PBNはLPSで誘導した場合にNOSの遺伝子発現を抑制することが報告され、レドックスを制御する転写因子、NFκBに影響を与えることが示唆されている。従って、本実験における過酸化状態による抗酸化ストレスではPBNは細胞内の酸化還元を調節するレドックス制御機構に作用し、シグナル伝達機構に関与していることが考えられた。また、酸化的ストレスによってPBNから放出されたNOが中枢神経に作用しその結果として、NFκBの制御をしている可能性も考えられた。これらの結果から、PBNは抗酸化作用を示して生体を防御する働きをしていることが確認された。 さらに、ESR法によってNOを直接検出するために、NO捕捉剤であるFe(DETC)2を用いた同様の実験を試みた結果、高酸素状態においたマウスのNOを検出することに成功したので、さらに実験条件等を検討し、高酸素暴露によるラジカル捕捉剤の影響をESR法によって詳細に調べることを次年度の目標としている。
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