2000 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸域モニタリングのためのイガイを用いた多重バイオマーカー試験の開発
Project/Area Number |
10680527
|
Research Institution | College of Technology, TOYAMA Prefectural University |
Principal Investigator |
楠井 隆史 富山県立大学短期大学部, 環境工学科, 教授 (60153293)
|
Keywords | バイオマーカー / ムラサキイガイ / 沿岸域 / 遺伝毒性 / 薬物代謝活性 / 免疫毒性 |
Research Abstract |
本年度は単細胞ゲル電気泳動試験(SCG)試験、薬物代謝活性測定、食胞作用測定法の改良ならびに室内実験、野外調査の適用を行った。SCG試験については、ZnCl_2暴露したイガイ血液細胞を用いてコメット試験の操作条件の最適化を検討したところ、unwinding時間15分、電気泳動時間20分の組み合わせで濃度-反応関係が一番明瞭であった。この条件で室内実験で試験を行なったところ、DNA損傷の濃度依存性、経時的変化、DNA損傷と修復の経時的変化を把握する事が出来、試験の有効性が確認された。薬物代謝活性測定のために検討したHPLCを用いたEROD測定では常法に比し、検量線の直線性の下限では約30,000倍もの高い測定感度が得られた。また、イガイ中腸腺からミクロゾームを調整し、HPLCで測定を行ったところ、妨害物質の少ないHPLCクロマトグラムが得られた。ミクロゾームー精製とHPLCの組み合わせにより、高感度でかつ妨害の少ない測定が可能であった。メタンスルホン酸メチル(MMS)とベンゾ[a]ピレン(B(a)P)を用いて暴露実験を行った所、有意なEROD活性の上昇が認められた(数pmol/min.mgレベル)。しかし、ECOD活性は観測されなかった。食作用試験については蛍光大腸菌を用いた方法の基礎的実験条件について、消光剤としてのトリパンブルー濃度、添加蛍光大腸菌数、血球細胞数、時間の影響を検討し、各実験条件の影響を明らかにし、ほぼ原法どおりの条件で実施が可能であることを確認した。B[a]P暴露により濃度上昇とともに食作用活性が増加し、更に高濃度で低下する傾向が認められ、測定方法の有効性が確認された。予備的に野外調査に適用し、地点間の相違、実施上の注意点(細胞数の影響)について知見を得た。以上、検討した試験方法を、2000年8月、10月、12月に富山湾沿岸の6漁港から採取したムラサキイガイに適用しその変動について考察した。
|