2000 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体比法を用いた荒川の窒素汚染と浄化作用に関する研究.
Project/Area Number |
10680534
|
Research Institution | THE UNIVERSITY OF TOKYO |
Principal Investigator |
山本 洋司 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科・文部科学教官, 助手 (80092360)
|
Keywords | 荒川水系 / 水循環システム / 緑のダム構想 / 水源林の涵養 / 水源基金 / 合併浄化槽 / 下水処理施設 / 産業廃棄物 |
Research Abstract |
今回の研究の概要は,「21世紀の水循環の創成と水環境の保全」について報告する。 〔1〕荒川の「水循環システム」の確立についての調査研究. (1)荒川源流の水源林の保全のためには,(1)水源林の涵養の必要性(2)水源林の整備・維持管理の強化(3)「緑のダム」構想等の「水循環システム」の確立が重要である。 (2)東京都の水道水源を構成する主な河川は,多摩川、荒川及び利根川であり,武蔵堰より荒川へ導水している利根川上流域の水源・水環境保全については,(1)上流域に建設又は予定の「ダム」の功罪の検証(2)上流域の自然環境の保全について調査研究した。 〔2〕東京都の水道水源域の保全と育成の確立についての調査研究. (1)多摩川の水道水源林の保全は,東京都が上流域の山梨県側の水干を中心にして,奥多摩湖までの水源林の管理を行なっているため,水質は良好な状態に保たれていることが確認された. (2)荒川、利根川の水道水源の保全の確立のためには,上流域の水源林の整備と自然環境の保全が重要な課題であり,各市町村も行政レベルの水浄化のための対策を講じる必要がある. 〔3〕荒川上流域の下水道処理システムの確立のための検証. 荒川源流域の山間地域での合併浄化槽の普及事業が,「浄化槽法の改正」により,これまでの「単独浄化槽」から「合併浄化槽」の施置義務化により,上流域の水質浄化対策の改革が始まり.この補助金交付対策事業の完成後には,BODで水質が1/8に改善される. 〔4〕荒川の中山間地域の農地・家庭から排出される,農薬・合成洗剤の使用量の規制及び浄化対策の確立と地域住民の意識改革が絶対要件として,今後必要である.又,荒川の上中流域(支流を含む)には大小の屎尿処理場及び産業廃棄物処理施設が多数点在しており,ここから排出される物質の安全基準及び行政指導の確立が重要な課題となっている. 〔5〕「市民が提言できる水質浄化システム」の確立のために,あらゆるレベルの環境市民団体に対して,どのような問題提起が可能あるか検討し,行政へその結果が反映される必要がある.
|
-
[Publications] 山本洋司: "新しい水循環の創出と水環境の保全"第5回・東京とことん討論会・資料集. 5. 45-50 (2000)
-
[Publications] 山本洋司: "基調講演3.「荒川の水循環と水源林の保全」"第2回奥秩父大滝源流シンポジウム「みんなで語ろう.水源の森」・資料. 2. 3-1-3-4 (2000)
-
[Publications] 山本洋司: "情報提供(1).「21世紀の水循環の創成と水環境の保全」"第4回・荒川全体市民会議・分科会資料(第4分科会). 4. 4-2-4-10 (2001)