1998 Fiscal Year Annual Research Report
貯水池の自然由来有機物質の起源分類およびTHM生成能との関係
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10680535
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古米 弘明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40173546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 典之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30292890)
大瀧 雅寛 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70272367)
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Keywords | 自然由来有機物質 / トリハロメタン生成能 / 貯水池 / 分子量分画 / 熱分解GC / MS / GPC / 藻類 / 富栄養化 |
Research Abstract |
1 流入河川由来と藻類由来のNOMの分類指標の検討 今年度は主として熱分解GC/MSを用いた分析を行った。まず熱分解温度の影響を検討し、以後の分析では600℃で熱分解を行うことに決定した。 津久井湖水の凍結乾燥試料を熱分解GC/MSにより分析した結果、特徴的なピークが5つ認められた。流入河川水のパイログラムには湖水と同じピークが含まれており、NOMの起源として奇与していることが示唆された。底泥溶出水からは非常に多くのピークが検出された。このことからNOMの鉛直方向への分布があることが予想され、今後の検討課題として挙げられる。藍藻Anabaena smithiiの単藻培養代謝産物に関して分析したが、培地由来と考えられるピークしか認められず、この藻類は対数増殖期には代謝産物をあまり放出しないことが分かった。 2 貯水池内のNOM組成の季節的変化の調査 採水は、津久井湖内(名手橋)と流入河川(道志川)の計2地点で、1月、5月、7月、8月、11月の計5回行った。予めガラス繊維濾紙(孔径0.7μm)でろ過した試料を、限外ろ過膜(分画分子量10000および1000)を用いて3つに分画し、それぞれについてDOC、E260、THMFPを測定した。 冬季試料(1月、11月)に比べて、夏季試料(5月、7月、8月)のDOCおよひTHMFPは高い値を示した。Chl-a濃度も同様の傾向を示しており、藻類の活動によりDOCおよびTHMFPが増大することが示唆された。画分毎のTHMFPの寄与率は,冬季は分子量1000〜10000の画分が、夏季は分子量1000以下の画分がそれぞれ50%以上を占めるという差異が認められた。さらに夏季試料の中でも8月の試料は分子量1000〜10000の画分の比率も高かったが(41%)、これは採水の少し前に急増したMicrocystisの代謝産物ではないかと推測された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 中島典之: "津久井湖湖水中有機物の熱分解GC/MSを用いた特性評価" 第33回日本水環境学会年会講演集. (発表予定). (1999)
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[Publications] 古米弘明: "貯水池内溶存有機物濃度の季節変化と藻類増殖に着目したTHM生成能の評価" 第50回全国水道研究発表会講演集. (発表予定). (1999)
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[Publications] 小松一弘: "貯水池内溶存有機物濃度の分子量分画と画分別THM生成能" 第50回全国水道研究発表会講演集. (発表予定). (1999)