1998 Fiscal Year Annual Research Report
π共役高分子フィルムを光触媒に用いる水質汚染物質の分解
Project/Area Number |
10680538
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
長谷川 淳 富山大学, 工学部, 教授 (20019186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀谷 重浩 富山大学, 工学部, 助手 (50272894)
神原 貴樹 富山大学, 工学部, 助教授 (90204809)
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Keywords | 農薬 / 光触媒 / π共役高分子半導体 / 光触媒反応 / 排水処理 |
Research Abstract |
π共役高分子フィルムを光触媒に用いて、水中の農薬の分解について研究した。1.π共役高分子半導体(ポリ(2,5-ジヘキソキシ-p-フェニレン)(PHPP)、ポリ(3-オクチルチオフェン-2,5-ジイル)(POTh)を文献法に従い合成した。キャスト法により試験管内壁にそれらのポリマーフィルムを塗布した。2.試験管に農薬(イブ口ベンホス、プロピザミド、フェノブカルブ、シマジン)の水溶液を入れ、高圧水銀ランプ(400W)及び高輝度平行光束光照射装置(電源装置を購入)を用いて光触媒分解を行った。照射波長は溶液フィルターを組み合わせて行い、照射溶液中の酸素分圧は通気ガス組成を変化させて行った。時間ごとに農薬水溶液を採取し、HPLC(紫外検出器を購入)により農薬の分解を測定した。3.PHPP及びPOThフィルムをそれそれ用い、空気通気下で4種類の農薬の分解速度を調べた。ポリマーフィルムがない時及び暗黒では分解しなかったことから、これらのフィルムは光触媒として働くことが分かる。両フィルムを使用した時の分解速度は、シマジン<フェノブカルブ<イプロベンホス、プロピザミドの順であった。分解速度は反応初期には濃度の一次に比例したが、時間と共に遅くなった。近紫外光(290nm<λ<380nm)により、フィルムの光分解と/あるいは反応後半のフィルムの部分剥離に原因すると思われる。3.分解速度は酸素分圧の増加と共に増加し、OHラジカルスカベンジャーであるベンゼン添加により阻害され、水溶液中にフェノールが検出された。また、イブロベンホスからはSO_4^<2->が、プロピザミドからはCl^-が検出された。4.ポリマーフィルムの酸化電位(Eox=1.3V)がOH/OH^-(Eox=2.0V)のものより低いことから、OHは価電子帯では生成しない。また、フィルムの光吸収により農薬が分解することから、フィルムの光励起から生成したOH(O_2+e^-→O_2^-→H_2O_2→2OH)が農薬を分解する経路を提案した。この際に、書籍(購入)を参考にした。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] K.Hasegawa: "Photocatalyzed degradation of agrochemicals using poly(2,5-dihexoxy-p-phenylene) and poly(3-octylthiophene-2,5-diyl) films" JOURNAL OF MATERIALS SCIENCE LETTERS. 18印刷中. (1999)