2000 Fiscal Year Annual Research Report
富栄養化湖沼における藍藻溶解性細菌類の検出手法の開発
Project/Area Number |
10680558
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
広木 幹也 国立環境研究所, 生物圏環境部, 主任研究員 (40142103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河地 正伸 国立環境研究所, 生物圏環境部, 主任研究員 (80311322)
渡辺 信 国立環境研究所, 生物圏環境部, 部長 (10132870)
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Keywords | 藍藻 / 富栄養化 / 16S rDNA / Microcystis / Oscillatoria / Pseudomonas / Xanthomonas |
Research Abstract |
これまで、藍藻に対して殺藻・分解活性を持つ細菌を、Microcystis aeruginosa(NIES-90株)を基質とする重層寒天平板法により、日本、タイおよび中国の富栄養化した湖沼の水より単離してきた。単離された藍藻溶解性細菌は、NIES-90株に対して殺藻・溶解性を持つが、他のラン藻類に対する分解活性は、細菌株間で差が見られた。即ち、Oscillatoria agardhii(NIES-610株)を基質として培養したときに、同株に対して分解活性を示す細菌株と、示さない細菌株があった。そこで、NIES-610株に対しても分解活性を示した14株についてDNAを抽出し、その16S rDNA部分塩基配列を調べ、それら細菌株の分類と系統関係について解析した。 その結果、供試した14株は16S rDNAの部分塩基配列の解析結果から2つのグループに分けられた。一方のグループに属する細菌は、16S rDNAの塩基配列はXanthomonas melonisをはじめとするXanthomonas属の細菌との相同性が非常に高く、細胞幅が0.2-0.3μmで長さが2μm以上の長かん菌(時には5μm以上の糸状)で、GC含量が68-70%と非常に高かった。もう一方のグループに属する細菌は、細胞の長さが1-2μm程度の短かん菌、GC含量が59-62%程度であり、l6S rDNAの塩基配列からはPseudomonas mendocinaなどPseudomonas属細菌との類縁性が示唆されたが、同定には至らなかった。 前者の細菌群のうち、タイ、バンコク近郊で分離された株とタイ北部で分離された計3株については、16S rDNAの部分塩基配列は一致し、また、これら株と、中国、内蒙古の富栄養化湖沼、および日本の富栄養化湖沼より分離された株との間では、16S rDNAの部分塩基配列の一部に差が認められるものの類似性は高かった。 この様に、世界の異なった地域で、DNA部分塩基配列が互いに類似する藍藻溶解性細菌株が見出されたことから、これらの株の特異的塩基配列を標的としたFISH法などにより、自然界のこれらの細菌群を特異的に検出し、生態研究に役立てられる可能性が示唆された。
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