1998 Fiscal Year Annual Research Report
ウミホタル生物発光系の分子機構研究:発光酵素の活性中心の解明
Project/Area Number |
10680562
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
牧 昌次郎 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (20266349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近江谷 克裕 静岡大学, 教育学部, 助教授 (20223951)
丹羽 治樹 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (20135297)
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Keywords | ウミホタル / ルシフェリン / ルシフェラーゼ / 生物発光 / 活性中心 / MALDI-MS |
Research Abstract |
ウミホタルの発光酵素の活性中心の解明には,発光酵素の単離抽出と修飾鎖を含むタンパクの構造解析行うことが必須である.ウミホタル発光酵素の遺伝子解析は既に行われており,アミノ酸の1次配列が決定されているが,天然の発光酵素では糖鎖修飾等がなされていることも予想され,現在のところ修飾構造についての情報は得られていない.そこで本年度は,ウミホタルから天然発行酵素の抽出を行い,修飾構造の解析を行った.生体試料として千葉県館山市沖で採集したウミホタルを使用した. ○酵素の抽出 酵素の抽出に際し,既知法にしたがって捕獲後直ちに冷凍保存したウミホタルを全生体ホモジナイズし,SDS-ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行い精製を試みた.しかし夾雑物が非常に多く,その精製は容易ではなかった.そこで生きたウミホタルに対し海水中で10〜20Vの電圧で刺激をあたえてウミホタルを発光させ,海水中に放出された発光液から発光酵素の精製を行った.この結果,約200〜300匹のウミホタルより5〜10μgの発光酵素を含むタンパクが比較的容易に得られることが判明した. ○酵素の断片化と構造解析 電気刺激法を用いて得たタンパクに対して,トリプシンを用いたIn-gel digestionを行い,得られたペプチド混合物を高速液体クロマトグラフィーにより分画し,各々をMALDI-TOFマウスペクトロメトリーを用いて測定を行った.これによりいくつかの画分から,遺伝子解析により予想されるペプチド断片(データベース)に相当するペプチドが観測され,現在までおよそ30%のフィッティングを完了した.今後は残りのペプチド断片のフィッティングを急ぎ行い,修飾されたアミノ酸が存在すれば,その修飾構造の解析を行う.
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