1998 Fiscal Year Annual Research Report
植物培養細胞におけるイリドイド配糖体の生合成並びに欠損生合成酵素と脱分化との関係
Project/Area Number |
10680572
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
井上 謙一郎 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40025713)
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Keywords | 生合成 / イリドイド配糖体 / セコロガニン / 植物培養細胞 / 酵素 / 脱分化 / シトクロームP-450 |
Research Abstract |
本研究では、脱分化した培養細胞においてイリドイド配糖体の生合成に関与している酵素がどこまで発現しているかを分化した小植物体との比較において明らかにすることを目的とし、今年度は同配糖体生合成経路の確立と欠損生合成酵素の特定を試みた。まず、本実験に必要な前駆物質の化学合成を行った。イリドイド骨格形成後のイリドジアール配糖体を含む5種の想定中間体については天然より多量に入手可能なゲニポシドを原料として合成した。骨格形成以前の前駆物質は市販のメバロン酸、ゲラニオールを用いた。これらの投与実験において、骨格形成以前の前駆体メバロン酸、ゲラニオールは全く取り込まれず、また骨格形成後の中間体のうちイリドジアール配糖体を除いた4種の中間体は取り込みの差はあるがすべて取り込まれた。本実験より、モノテルペン生合成に至る初期段階のメバロン酸生合成酵素が欠落したかあるいはメバロン酸が他のテルペン合成に流れたかの二つの可能性が考えられる。しかし植物が生育するためにはステロールは不可欠であるので、メバロン酸経路は存在すると考えられ、後者の可能性が高い。今後この問題を植物体との比較で検討する予定である。またそれより下流の生合成経路では、イリドイド骨格形成に関与する酵素かまたは配糖体化酵素の欠落していることが考えられ、現段階では、脱分化によるイリドイド生合成への影響としては一つの酵素の欠落だけではなく代謝経路の変化など複数の要因が考えられる。一方、上記の投与実験により、イリドジアール配糖体以後の生合成経路が確認された。また本生合成に関与する酵素のうち、ロガニンよりセコロガニンへの酸化的開環を触媒する酵素がチトクロームP-450であることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)