2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680575
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
小崎 紳一 山形大学, 教育学部, 助教授 (40280581)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 芳人 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 教授 (10201245)
|
Keywords | ペルオキシダーゼ / ミオグロビン / 酸化反応 |
Research Abstract |
本研究は、蛋白質の機能一構造相関についての理解を深めるために、ヘム酵素のヘム近傍に存在するアミノ酸残基の役割を解明することを目的として3年前に開始された。具体的には、本来、酵素としての機能を持たないミオグロビンをビルディングブロックとしてとらえ、部位特異変異の手法を用いてヘムオキシゲナーゼ、ペルオキシダーゼといった酵素へと機能変換していくという試みを通して、以下に挙げる知見を得ることができた。 1)ミオグロビンとその変異体によるアスコルビン酸(還元剤)存在下におけるヘム分解反応の位置選択性は、ヘム近傍に存在するアミノ酸残基の極性に依存しており、同様な考え方がヘムオキシゲナーゼにも応用可能であることを示した。 2)ミオグロビンのヘム鉄の配位子をヒスチジンから嵩の小さいグリシンに変異させ、外部から様々な置換基を持つイミダゾールを導入することで鉄への電子供与性を変化させても、過酸化水素との反応性は大きく変化しないことから、ぺルオキシダーゼにおいても、軸配位子は過酸化水素の活性化に従来から提唱されているほど大きな影響を与えていない可能性を示した。 3)ミオグロビンのヘム上部に存在するヒスチジンを極性の高いアスパラギン酸に変異させることで、野性型の300倍以上もの酸化活性を持つ酵素へと変換する事に成功した。この結果により、ヘム上部にヒスチジンの代わりにグルタミン酸を持つクロロペルオキシダーゼにおいても、酸性残基が重要であることを示唆することができた。 4)ミオグロビンのヘム近傍にトリプトファンを導入すると、酸化触媒サイクルにおいて蛋白質の翻訳後修飾がおこり、トリプトフィルキノンが生じることを確認した。この結果は、アミン脱水素酵素に存在する補酵素、トリプトファンートリプトフィルキノン(TTQ)の生合成過程に関わるヘム酵素モデルとして重要であることを示した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Matsui,T.; Ozaki,S.; 他3名: "Effects of the Location of Distal Histidine in the Reaction of Myoglobin with Hydrogen Peroxide"Journal of Biological Chemistry. 274. 2838-2844 (1999)
-
[Publications] Murakami,T.; Morishima,I; 他5名: "Effects of the Arrangement of a Distal Histidine on Regioselectivity of the Coupled Oxidation of Sperm Whale Myoglobin Mutants"Journal of the American Chemical Society. 121. 2007-2011 (1999)
-
[Publications] Ozaki,S.; Yang,HJ; 他3名: "Asymmetric Oxidation Catalyzed by Myoglobin Mutants"Tetrahedron : Asymmetry. 10. 183-192 (1999)
-
[Publications] Matsui,T.; Ozaki, S. 他1名: "Formation and Catalytic Roles of Compound I in the Hydrogen Peroxide-Dependent Oxidations by His64 Myoglobin Mutants"Journal of the American Chemical Society. 121. 9952-9957 (1999)
-
[Publications] Roach,M.P.; Ozaki, S.; Watanabe, Y.: "Investigations of the Myoglobin Cavity Mutant H93G with Unnatural Imidazole Proximal Ligands as a Modular Peroxide O-O Bond Cleavage Model System"Biochemistry. 39. 1446-1454 (2000)
-
[Publications] Ozaki,S.; Hara,I.; Matsui,T.; Watanabe, Y.: "Molecular Engineering of Myoglobin : The Improvement of Oxidation Activity by Replacing Phe-43 with Tryptophan"Biochemistry. 40. 1044-1052 (2001)