1998 Fiscal Year Annual Research Report
筋小胞体カルシウムポンプのリン酸化部位近傍の構造と機能の解析
Project/Area Number |
10680576
|
Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
大保 貴嗣 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90207267)
|
Keywords | カルシウムポンプ / Ca^<2+>-ATPase / 筋小胞体 / 部位特異的変異 / ヒスチジン / アルギニン |
Research Abstract |
筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseのHis-5及びArg-198が触媒部位またはその近傍に位置する。本研究ではこれらのアミノ酸残基(周辺)の部位特異的変異による機能解析を行った。 1.N末端ドメインの機能解析:N末端ドメインのE2からA4までの間で削除をした変異体Δ2-3、Δ2-4のCOS-1細胞での発現はあまり抑制されなかった。他方、H5まで削除したΔ2-5の発現は強く抑制された。またΔ3-4、Δ4-5、Δ5-6、Δ6-7、Δ6-8や、A4K、A4Dでも発現は強く抑制された。これらの結果は、H5を含むN末端の数残基がCOS-1での発現に重要であることを示している。また、in vitro発現系を用いた実験により、Δ6-8の転写、翻訳、及び膜への挿入が障害されていないことが示された。以上の結果は、COS-1で発現が強く抑制された上記の変異体では、Ca^<2+>-ATPaseのnative conformationが安定化されず、その結果COS-1のproteaseによって分解されたことを示唆している。2.Arg-198の部位特異的変異:Rl98を親水性と正電荷を保つLysに置換してもATPase活性とリン酸化酵素(反応中間体)濃度から求めたturnover rateは変化しなかった。親水性を保つが電荷を持たないGlnに置換すると若干減少した。他方、負電荷を持つGluや、疎水性のAla、Ileに置換すると著明に減少した。次に、リン酸化酵素の加水分解速度を直接測定した。R198Kの分解速度はWTと同じであった。R198Qでは分解が遅くなり、R198のE、A、I置換体では分解が著明に遅くなった。以上の結果は、198番目のアミノ酸残基が親水性であり、かつ正電荷を持つことが、リン酸化酵素の速い加水分解に重要であることを示している。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 大保 貴嗣: "筋小胞体Ca^<2+>-ATPase N末端ドメインのSer6-Lys7-Ser8は酵素のnative conformationを安定化する" 生化学. 70・8. 1104-1104 (1998)
-
[Publications] 大保 貴嗣: "筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseのArg198への部位特異的変異導入はPiから形成したリン酸化中間体の加水分解を抑制する" 生化学. 70・8. 1104-1104 (1998)
-
[Publications] Takashi Daiho: "Mutations of Arg^<198> in sarcoplasmic reticulum Ca^<2+>-ATPase cause inhibition of hydrolysis of the Phosphoenzyme intermediate formed from inorganic phosphate" FEBS Lett.444・1. 54-58 (1999)