1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680578
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高崎 誠一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (80112093)
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Keywords | 配偶子 / 糖鎖認識機構 / 精子 |
Research Abstract |
配偶子間の相互作用には複数の、互いに協調した糖鎖認識機構が働いているものと思われる。このような考えを証明する一環として、前年度に明らかにしたブタの卵透明帯糖タンパク質の糖鎖の構造情報を基盤として、卵側の糖鎖リガンドや精子側の認識分子について解析し、以下の結果を得た。 1.卵透明帯の糖タンパク質に含まれるLewisX構造を有する糖鎖に着目し、種々のフコース含有糖鎖プローブをビーズに結合させ、これらビーズに対するブタ精子の結合の観察から、LewisX構造が強い精子結合活性を有することを明らかにした。一方、シアリルLewisX、Fuc-GlcNAc、タイプ2H型糖鎖等への精子の結合は、微弱あるいは皆無であった。 2.LewisX構造を認識する精子の反応は、これまで明らかにしてきたシアリルラクトサミンやラクトサミンを認識する反応とは異なるものであることを、それぞれの糖鎖を結合したビーズへの精子の結合に対する可溶性糖鎖プローブによる阻害実験から明らかにした。 3.卵に対する精子の結合が、シアロオリゴ糖、アシアロオリゴ糖、LewisXオリゴ糖などの多価糖鎖ポリマーによって阻害されることを観察し、配偶子間の結合には、複数の糖鎖認識機構が働いていることが示唆された。 4.種々の多価糖鎖プローブのビオチン標識体を独自に開発した方法で調整し、これらを精子表面上の糖鎖認識分子を検出するプローブとして、蛍光標識アビジンと組み合わせて用いた。その結果、シアロオリゴ糖、アシアロオリゴ糖、LewisXオリゴ糖等の糖鎖プローブによって、受精能を獲得した精子の頭部が蛍光染色され、一方、先体反応を誘導した精子頭部は染色されないこと等が明らかとなり、数種の糖鎖認識分子の存在が示唆された。
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[Publications] Seiichi Takasaki: "Structures of sugar chains inciuded in mammalian zona pellucida glycoprotains and their potential roles is sperm-egg interaction"Biochim. Biophys. Acta. 1473. 206-215 (1999)
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[Publications] Naoei Yoshitani: "Micro ale synthesis of dextran-based multivalent N-linked oligosaccharide probes"Anal. biochem.. 277. 127-134 (2000)
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[Publications] Etsuko Mori: "Calcium ion-independent recegnition of sialyl and nonstalyl N-acetyelactosamine and Le^× structures by boar sperm"Arch. Biochem. Biophys.. 374・1. 86-92 (2000)