1998 Fiscal Year Annual Research Report
テロメアDNA結合蛋白質TRFの高次構造とテロメアDNA認識機構
Project/Area Number |
10680593
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鳥越 秀峰 理化学研究所, ジーンバンク室, 研究員 (80227678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 一博 神奈川科学技術アカデミー, タンパク機能制御プロジェクト研究室, 室長(研究職) (90260330)
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Keywords | テロメアDNA / DNA結合蛋白質 / 高次構造 / DNA認識機構 |
Research Abstract |
哺乳類の染色体の末端に存在するテロメアDNAは(TTAGGG)nの反復配列からなり、染色体の構造安定化に寄与する。またテロメアDNAは細胞の老化と共に短縮し、生体内時計としての役割を果たす。しかし、細胞が癌化、不死化すると短小化が停止し伸長するようになる。このようにテロメアDNAは、細胞の老化や癌化と密接な関係にあるということで、急速に注目されている。テロメアDNAの伸長反応には、テロメラーゼと共にテロメアDNAに特異的に結合する蛋白質が関与する。TRFl蛋白質は哺乳類のテロメアDNAに特異的に結合し、テロメアDNAの長さを監視しながら、テロメラーゼのテロメアDNA伸長活性を負に制御する。またTRFlのDNA領域は、転写因子MYBのDNA結合領域と一次配列上高い相同性を有する。 本年度の研究では、TRFlは全長でなくMYB様のDNA結合領域のみでも、テロメアDNAと比較的特異的にかつ強く結合できることを明らかにした。またTRFlのDNA結合領域が比較的特異的にかつ強く結合するのに必要な標的テロメアDNAの長さは、16塩基対であることも明らかにした。そこで、TRFlのDNA合領域ペプチドをペプチド合成機で合成し、逆相HPLCで精製した。また、標的テロメアDNAオリゴヌクレオチドをDNA合成機で合成し、逆相HPLCで精製した。TRFlのDNA結合領域とテロメアDNAとの複合体の三次元構造を決定するために、これら精製したペプチドとオリゴヌクレオチドとの複合体の結晶化を進め、最適の結晶化条件を探索しているところである。またこれと共に、TRFl全長に対応する遺伝子pETベクターに挿入し、大腸菌で大量発現する系を構築した。さらに、ホスホセルロースオープンカラムとフェニルセファロースHPLCカラムを用いて、大量発現した蛋白質をほぼ単品にまで精製することにも成功しつつある。精製したTRFl全長蛋白質と標的テロメアDNAオリゴヌクレオチドとの複合体の結晶化を進め、TRFl全長蛋白質とテロメアDNAとの複合体の三次元構造も決定する予定である。
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