1998 Fiscal Year Annual Research Report
ポリシアル酸合成に関与する2種のシアル酸転移酵素の特性解析
Project/Area Number |
10680594
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小島 直也 東海大学, 工学部, 助教授 (30183338)
|
Keywords | ポリシアル酸 / シアル酸転移酵素 / 神経細胞接着分子(N-CAM) / シアル酸転移酵素遺伝子 |
Research Abstract |
神経細胞接着因子(N-CAM)に特徴的に見いだされるポリシアル酸の発現は組織特異的であり、発現時期が厳密にコントロールされている。N-CAM上のポリシアル酸はN-CAMを介する細胞接着を弱めることにより神経細胞の移動・ニューロンの伸長やがん転移に密接に関わっていることが多くの研究から示されている。従って、神経系の構築及び記憶や学習あるいはがん転移等におけるポリシアル酸の機能・意義を研究する上で、ポリシアル酸の合成・発現機序の解明は必須である。申請者らは2種のα2,8-シアル酸転移酵素遺伝子(STX,PST)をクローニングしている。しかし細胞内でこれら2種のポリシアル酸合成酵素がどのような役割分担をし、どのようにポリシアル酸の発現制御に関与しているかということについては依然不明である。本研究では細胞レベルでのポリシアル酸の発現がこれら2種のポリシアル酸合成酵素によってどのように制御されているかを明らかにすることを目的としている。本年度は以下のことを明らかにした。 1) マウスのPST遺伝子のゲノム構造を明らかにし、そのプロモーター領域について解析した。その結果、以前明らかにしているマウスSYX遺伝子とゲノム構造はよく似ていたが、プロモーター領域に存在する転写モチーフは全く異なっており、2種のポリシアル酸合成酵素の発現がそれぞれ全く別に転写制御されていることが明かとなった。 2) ポリシアル酸を発現していないマウスの神経が主要細胞Neuro2aにそれぞれSTXあるいはPSTのcDNAを導入しポリシアル酸合成酵素を過剰発現させたところ、STXのcDNAを発現させた細胞ではN-CAMのl40kDaと180kDaの2つの分子種だけが特異的にポリシアリル化されたが、PSTのcDNAを発現させた細胞においてはそれらに加え、N-CAMのl20kDa分子種及びN-CAM以外のタンパク質もポリシアリル化されていた。従って細胞内では2種のポリシアル酸合成酵素の糖タンパク質に対する基質特異性は異なっていることが示唆された。
|
-
[Publications] Kono,Mari: "Molecular Cloning and functional expression of a fifth type alpha2,3 sialyltrans ferase (mST3 GalV:GM_3 Synthase)" Biochem,Biophys.Res.Commun.263. 170-175 (1998)
-
[Publications] Tang,Wei: "Binding specificity of lectins to Immobilized glycoproteins and oligo-saccharides differ from those of immobilized lectin to oligo saccharides" Acta.Medica.Okayama. 52(6). 311-318 (1998)
-
[Publications] Kojima,Naoya: "Alpha 1,6-linked fucose affects the expression and stability of poly-sialic acid-carrying glycoproteins in Chinese Hamster Overy Cells" J.Biochem. 124. 726-737 (1998)
-
[Publications] Takashima,Shou: "Geromic structure and promoter activity of the mouse polysialic acid synthase (mST8SiaIV/PST)" J.Biol.Chem. 273. 7675-7683 (1998)
-
[Publications] Kojima,Naoya: "Two polysialic acid synthases, ST8siaII and IV,synthesize different degree of polysialic acid on different glycoproteins in mouse neuroblastoma Neuro 2a cells" J.Biochem. 122(6). 1265-1273 (1997)