1998 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内共生系における二成分型情報伝達機構に関する研究
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10680598
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森岡 瑞枝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (20272461)
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Keywords | 細胞内共生 / 二成分型情報伝達機構 / 制御分子 / シンビオニン / 分子シヤペロン / センサー分子 / ヒストンH1 |
Research Abstract |
アブラムシの細胞内共生バクテリア(ブフネラ)が合成するストレスタンパク質・シンビオニンは、共生系において二成分型情報伝機構の"センサー分子"の役目を果たし、制御分子役のタンパク質へリン酸基を転移するものと考えられる。これまでに、N-末端アミノ酸配列分析を行い、データー・ベースを用いたホモロジー検索により、制御分子として機能しうるタンパク質を4種類同定し、その1つ(20kDa-タンパク質)は、真核生物のヒストンH1と相同な分子であることを明らかにした。 そこで、本年度は、共生体ヒストンH1-ホモログの生化学特性を明らかにするための解析を行い以下の成果を得た。 1) N-末端アミノ酸配列はすでに解析済みであるので、20kDa-タンパク質をリジルエンドペプチダーゼで消化し、逆相高速液体クロマトグラフィーにより数個のペプチドフラグメントを精製分離し、これらのアミノ酸配列を決定した。 2) このアミノ酸配列に基づきプライマーを設計しdegenerate PCRを行い、PCR産物をサブクローニングし、遺伝子の部分配列を決定した。 3) 得られた遺伝子配列に基づきプライマーを設計しcassette PCRを行い、20kDa-タンパク質遺伝子の全長をクローニングし、全アミノ酸配列を決定した。 4) ヒストンH1抗血清を用いたImmunoblotting法、5%-PCA抽出法、およびDNA-セルロースカラムを用いたアフィニティー・クロマトグラフィーにより、20-kDaタンパク質は真核細胞のヒストンH1と抗原性を共有し、酸可溶性であり、かつDNA-結合活性を有することを明らかにした。
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