1998 Fiscal Year Annual Research Report
天然物としてのN-メチル-D-アスパラギン酸の分布、代謝、機能
Project/Area Number |
10680603
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山田 良平 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (00079708)
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Keywords | N-メチル-D-アスパラギン酸 / アカガイ / サルボウガイ / ハマグリ / Scapharca |
Research Abstract |
1. N-メチル-D-アスパラギン酸の高速液体クロマトグラフィーによる分離定量法の高精度化:我々は先に生物組織の抽出液をo-phthalaldehydeとN-ecetyL-L-cysteineで処理した後、(+)-1-(9-fluorenyl)ethyl chloroformateで誘導体化することによりN-メチル-D-アスパラギン酸を高速液体クロマトグラフィーで分離定量する方法を確立したが、さらに、誘導体化試薬として上記試薬の鏡像体である(-)-1-(9-fluorenyl)ethyl chloroformateを用いるとN-メチル-D-アスパラギン酸とN-メチル-L-アスパラギン酸の溶出挙動が逆転することから、両鏡像体を併用することにより両N-メチルアスパラギン酸の、より高精度な分離定量が可能となった。 2.アカガイにおけるN-メチル-D-アスパラギン酸の臓器・組織分布:従来、N-メチル-D-アスパラギン酸の含有が知られていたのはアカガイの足の筋肉のみであったが、上記の分離定量法の適用により外とう膜、貝柱、えらなどにも筋肉に匹敵する舎有率でN-メチル-D-アスパラギン酸が検出された。中でも外とう膜の環状の外周部分における含有率が高かった。 3. 他の生物の組織におけるN-メチル-D-アスパラギン酸の分布:まず種々の二枚貝を調べたところ、アカガイと同じくScapharca属のサルボウガイにおいては、やはり足筋肉、外とう膜などに高濃度にN-メチル-D-アスパラギン酸が含まれていた。他属については、アサリ、セタシジミなどには検出されなかったがハマグリやイワガキにも多量に検出され、Scapharca属に限られるものではないことが明らかとなった。とはいえ、巻貝やイカ、タコなどにおいては検出されず、ラットやウサギなど、哺乳類の脳にもこれまでのところ検出されていない。
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