1998 Fiscal Year Annual Research Report
トロンビンレセプターを介した神経細胞のアポトーシスの細胞内分子機構
Project/Area Number |
10680605
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
井戸 正流 三重大学, 医学部, 講師 (90167263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 宏治 三重大学, 医学部, 教授 (70077808)
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Keywords | トロンビンレセプター / セリン・スレオニンキナーゼ / 血小板 / PCR法 |
Research Abstract |
トロンビンは、血小板トロンビンレセプター(TR)内のヒルジン様構造部位に結合した後にTRを限定分解し、TR分子内に隠されていたアゴニスト領域を露出させ、この領域を介して細胞内にシグナルを伝達する。TRは7回膜貫通構造をもつG蛋白共役型受容体の一つで、細胞内シグナル伝達にはCa^<2+>の動員、G蛋白の共役、複数のリン酸化酵素の活性化が関与すると考えられている。TRのC末側の細胞内ドメインは細胞内にシグナルを伝達するためには必須の領域であり、また、リン酸化によりこのドメインとG蛋白との相互作用が阻害され、トロンビンに対する不応化が起こると考えられている。 我々は、血小板におけるTRの細胞内ドメインを特異的にリン酸化する酵素を調べるために、TRの細胞内ドメインをPCR法により増幅し、大腸菌にグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白として発現させた。この融合蛋白をゲル内リン酸化法のin vitroの基質として用いたところ、血小板内にトロンビン刺激により新たに特異的に活性化される33kDaリン酸化酵素が検出された。この33kDaリン酸化酵素はin vitroの基質としてカゼインもリン酸化することから、申請者が発見し、これまで報告してきた33kDaセリン・スレオニンキナーゼと同一のものと考えられる。この33kDaリン酸化酵素はトロンビン濃度依存性に刺激後5秒以内に活性化されるセリン・スレオニンキナーゼであり、TRを介するシグナルを伝達し、かつTRの不応化に関わる極めて重要なリン酸化酵素であると推定している。現在のところ、この33kDaリン酸化酵素の活性化機構、TRの細胞内ドメインとG蛋白との相互作用に及ぼすこの酵素の役割、TRのC末側細胞内ドメインのリン酸化と不応性の機構については全く明らかでない。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Masaru Ido,Tatsuya Hayashi,and Koji Suzuki: "Ca^<2+>-Dependent Activation of the 33-kDa Thrombin Receptor-Associated Kinase in Human Platelets" Lipoprotein Metabolism and Atherogenesis(Springer Verlag). (in press). (1999)