1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10680630
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
神山 勉 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30170210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 哲二 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10271545)
足立 伸一 理化学研究所, 研究員 (60260220)
神谷 信夫 理化学研究所, 室長(研究員) (60152865)
山根 隆 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80030055)
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Keywords | 膜蛋白質の結晶化 / バクテリオロドプシン / 光捕集クロロフィル蛋白質複合体 / プロトン輸送 / X線結晶構造解析 / 生体超分子 |
Research Abstract |
光駆動プロトンポンプとして知られる膜蛋白質バクテリオロドプシン(bR)およびエンドウの葉緑体のチラコイド膜より抽出した光補集クロロフィル蛋白質複合体(LHC-II)のX線結晶構造解析を行なった。 bRについては、プロトン輸送にとって重要である水分子を同定できる程度まで分解能を向上させること、および、プロトン輸送サイクルにおける蛋白質の構造変化を検出すること、を目指して研究を行った。実験には平面膜が累積してできた六方晶を用い、これを100Kに冷やしてX線回折測定を行った。基底状態の構造に関しては、SPring8にて収集した2.5A分解能の回折データを基に解析を行い、昨年度までに求めた立体構造を確認すると同時に、バクテリオロドプシン三量体の中心および周辺に存在する脂質分子を新たに同定した。反応中間体の構造に関しては、反応サイクルにおける重要なステップであるM->N転移が結晶中においては阻害され、M中間体の寿命が室温で1秒程度まで長くなることを示し、強力な光照射の下で結晶を急速凍結することによりほとんどの蛋白質がM中間体にトラップされた結晶状態を実現させた。これにX線を照射し2.8A分解能の回折データを収集した。 LHC-IIについては、高分解能の構造解析に適した三次元結晶を作成することを目指して研究を行った。界面活性剤としてノニルグルコシド、結晶析出剤として塩化カリウムを用いてLHC-IIの結晶化を行うと、同じような条件で二種類の結晶(正八面体の結晶と複屈折性を示す六方晶)が得られた。正八面体の結晶については12A分解能のX線回折像が得られ、結晶の空間群(P2(1)3)および格子定数(390A)が求められた。基本構造単位が径27nmの球殻状集合体で、これが立方最密充填して結晶ができていることが分かった。その大きさから60個のLHC-IIからなる正二十面体構造が予想される。一方、複屈折性を示す六方晶は球殻状集合体の安定度が低くなる条件おいて効率的に成長した。空間群P6(3)22に属し、格子定数はa=b=129A,c=137Aと求められ、この結果から、LHC-II三量体の平面状集合体が基本構造単位であり、これが積層して六方晶ができていることが示唆された。この結晶を用いることで2.5A分解能のX線回折斑点が観測できた。
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[Publications] T.Okada, et al: "Highly selective separation of rhodopsin from bovine rod outer segment membranes using combination of divalent cation and alkyl (thio) glucoside" Photochem. Photobiol.67. 495-499 (1998)
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[Publications] K.Takeda, et al: "A novel three-dimensional crystal of bacterirhodopsin obtained by successive fusion of the vesicular assemblies" J.Molecular Biology. 283. 463-474 (1998)