1998 Fiscal Year Annual Research Report
球状ウイルスの高分解能立体構造に基づくアセンブリー機構の解析
Project/Area Number |
10680634
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80032283)
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Keywords | タバコネクロシスウイルス / X線結晶解析 / ウイルスの立体構造 |
Research Abstract |
タバコネクロシスウイルス(TNV)は一本鎖RNA(1.3x10^6Da)をゲノムとして持つ球状ウイルスであり、アカザやナス科などの植物に感集し、壊疽症状を起こす。TNVの180個のコート蛋白(3.0x10^4Da)は同一の遺伝子産物であり、一次構造は既に決定した。このサブユニットはT=3の擬似対称を持つキャプシドを構築し、RNAを含め粒子量は7x10^6である。TNV粒子の解離と会合の機構を探るため、X線結晶解析で立体構造を決定した。 TNVを結晶化し、その回折強度をフォトンファクトリーのBL6Aの巨大分子用ワイセンベルクカメラとシンクロトロン放射光(λ=1.00Å)を用いて測定した。回折点を振動法で(振動角0.5゚)106枚のIP上に記録し、これらをDENZOおよびSCALEPACKで処理し、298,768の独立な回折強度データを得た(completeness=99.0%,R_<merge>=7.9%)。結晶学的パラメーターは、立方晶系、空間群P4_232,a=b=c=336.4Åであった。これらのデータおよびすでに得ているポリグリシンモデルを用いて、電子密度をsolvent flatteningおよび5重の平均によって改良すると共に、高分解能へ拡張した。その結果得られた2.25Å分解能電子密度は非常に上質であり、大部分の側鎖を同定することができた。一次構造を基に、A,B,Cのそれぞれのサブユニットの189,189,219残基のモデルを構築した。X-PLORで構造を精密化し、現在R=25.3%,R_<free>=27.3%となっている。 TNVのサブユニットは他のウイルスのサブユニットと同様、ゼリーロールβバレル構造をしている。A,B,CのN末端側のそれぞれ86,86,56残基は揺らぎが大きいのであろう、電子密度には現われていない。A,B,C3つのサブユニット間に5個のカルシウムイオンを同定した。
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