1998 Fiscal Year Annual Research Report
ラットより単離したR_<UV>B類似DNAヘリカーゼTIP49の解析
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10680647
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
牧野 泰孝 千葉大学, 理学部, 助手 (20240989)
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Keywords | DNAヘリカーゼ / R_<UV>B / TBP / ATPase / 相同組み換え / ホリディ構造 / 転写 |
Research Abstract |
遺伝子の組み換えと修復は遺伝子情報の保持に必須であり、その機能異常は遺伝病や癌化につながる。申請者は基本転写因子TBPと相互作用する因子の検索の過程で、原核生物のDNAへリカーゼRuvBと高い相同性を持つ新規タンパク質TIP49を発見した。これまでに、組み換え反応の後期、すなわちホリディ構造形成後に関与する真核生物の因子は何一つ知られておらず、TIP49発見がその突破口として期待される。 本研究では、TIP49の組み換え体タンパク質を大腸菌より高度に精製し、生化学的な性質を検討することで以下の事を明らかにした。1) TIP49の有するATPase 活性は一本鎖DNAによって上昇するが、二本鎖DNA、あるいはRNAでは上昇しない。2) UVクロスリンク実験により、TIP49はATPと特異的に結合する。3) ATPあるいはdATP存在下でM13上に結合した合成オリゴヌクレオチドを解離させる。また、その時のATPとマグネシュウムイオンの至適濃度は、それぞれ1-2mMと0.25-1mMであった。4) DNA鎖を解離させる方向性は3'から5'方向であった。5) TIP49は精巣、胸腺、脾臓など増殖の活発な組織で発現が高く、特に精巣ではパキテン期の精母細胞から球状精細胞にかけて特異的に発現していた。以上のことから、バクテリアの相同組み換え囚子RuvBと相同性を持つラットTIP49は新規のDNAヘリカーゼであり、組み換えや転写などの二本鎖DNAの解離が必要とされる核内プロセスで重要な役割を担っていると考えられる。これらの研究成果は平成10年度の分子生物学会で発表、また1999年のJ.Biol.Chem.に報告し、現在、印刷中である。これまでに、アメリカ、オーストリアのグループからTIP49に関する報告が出されているが、われわれのグループが一歩先行するかたちで研究が進展している。また、海外からの研究グループより多くの共同研究の申し込みがあり、今後、TIP49に関する研究が大きな発展を遂げることが期待でき、核内プロセスの研究分野に大きく貢献できると思われる。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.Makino et al.: "a rat R_<UV>B-like protein,TIP49a,is a germ cell-enriched novel DNA helicase" J.Biol.Chem.(in press). (1999)
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[Publications] Y.Kurokawa et al.: "a notable example of an evolutionally conserved gene:Studies on a putative DNA helicase TIP49" DNA sequence. 10. 37-42 (1999)
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[Publications] T.Ohbayashi et al.: "Identification of a mouse TBP-like protein(TLP)distantly related to the Drosophila TBP-related factor" Nucl.Acids Res.27. 750-755 (1999)
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[Publications] Y.makino et al.: "TIP49,homologous to the bacterial DNA helicase R_<UV>B,acts as an autoantigen in human" Biochem.Biophys.Res.Commun.245. 819-823 (1998)
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[Publications] E.Wolf et al.: "Crystal structure of a GCN5-related N-acethyltransferase:Serratia maroescens aminoglycoside 3-N-acethylTransferase." Cell. 94. 439-449 (1998)
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[Publications] T.Kishimoto et al.: "Enhanced expression of a new clan of liver-enrichol b-ziptranscription factor,HTF,in hepatocellular carcinomas of rats and humans" Cell Grath & Differ.9. 337-344 (1998)
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[Publications] 牧野泰孝(分担執筆): "分子生物学" 羊土社, 20 (1998)