1999 Fiscal Year Annual Research Report
受精の瞬間に活性化されるプロテインキナーゼのクローニングと機能解析
Project/Area Number |
10680653
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
深見 泰夫 神戸大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (00156746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 賢一 神戸大学, 遺伝子実験施設, 助手 (30235337)
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Keywords | 受精 / 胚発生 / ジグナル伝達 / 蛋白質リン酸化 / チロシンキナーゼ / ホスホリパーゼCγ / カルシウムシグナル |
Research Abstract |
アフリカツメガエル(ゼノパス)卵において、受精の瞬間に活性化されるチロシン特異的プロテインキナーゼ(以下Xykと略)のクローニングと機能解析のための実験を行い、以下の新しい知見を得た。 1.前年度に引き続き、部分アミノ酸配列の解読・cDNAクローニングを目的としたXyk精製を行った。これまでゼノパス約千匹分の卵からのXyk精製を終了し、現在その部分断片化およびアミノ酸配列の解読を急いでいるところである。 2.受精時にチロシンリン酸化を受けるXyk以外の卵タンパク質の同定を行い、アダプター分子Shcと膜脂質分解酵素であるホスホリパーゼCγ(PLCγ)を見いだした。前年度報告したように、チロシンキナーゼ阻害剤を注入したゼノパス卵では受精による卵の賦活が起こらないが、ShcとPLCγのチロシンリン酸化も阻害剤注入卵では抑えられていた。PLCγについてはさらに、(1)受精に伴いXykと結合し、チロシンリン酸化依存的に酸素活性が上昇すること、(2)PLC阻害剤の卵内注入により受精依存的卵内Ca2+濃度上昇や卵賦活の阻止が起こること、等が見いだされた。以上の結果はゼノパス卵の受精/賦活にXyk→PLCγ経路が必要であることを示唆している。 3.チロシンリン酸化を起こすストレス因子の一つである過酸化水素が、ゼノパス卵に対してXyk活性化/PLCγチロシンリン酸化/細胞内Ca2+濃度の上昇といった卵賦活様の効果を持つことを見いだした。この結果はXykの活性化がゼノパス卵賦活に十分である可能性を示唆している。 4.受精および過酸化水素によるゼノパス卵のタンパク質チロシンリン酸化をパラフォルムアルデヒド固定卵の凍結切片を用いた間接蛍光抗体法により解析した。その結果、いずれのリン酸化反応も卵の動物極側表層で起こることが見いだされた。この結果は、ゼノパス卵において受精の場が動物極に限られることとの関連で興味深い。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sato,K.-I.et al.: "Evidence for the involvement of a Src-related tyrosine kinase in Xenopus egg activation"Dev.Biol. 209. 308-320 (1999)
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[Publications] Fukami,Y.et al.: "Peptide inhibitors of MAPK pathway;A structure-mimetic peptide corre-sponding to the conserved IDA (Inter-DFG-APE)region of the kinase domain"Pharmacol.Ther.. 82. 399-407 (1999)
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[Publications] Aoto,M.et al.: "A 58-kDa Shc protein is present in Xenopus eggs and is phosphorylated on tyrosine residues upon egg activation"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 258. 265-270 (1999)
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[Publications] Nakazawa.M.et al.: "Biochemical analysis of the interaction between elongation factor 1α and α/β tubulins from a ciliate,Tetrahymena pyriformis"FEBS Lett.. 435. 29-34 (1999)
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[Publications] Tokmakov,A.et al.: "Deregulation of MAPK at low pH due to a structural rearrangement of activation segment"Biochim.Biophys.Acta. 1476. 66-74 (2000)
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[Publications] Sato K.-I.et al.: "Fertilization signalling and protein-tyrosine kinases"Comp.Biochem.physiol.. (in press). (2000)