1998 Fiscal Year Annual Research Report
受容体よりアダプター分子Shcを介する増殖、アポトーシス,分化シグナル伝達の解析
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10680662
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渋谷 正史 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10107427)
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Keywords | EGF / EGF受容体 / 細胞増殖抑制 / p21 / C-キナーゼ |
Research Abstract |
EGF受容体からのシグナル伝達とアダプターShcの機能に関して解析し、以下の結果を得た。 (1)、 EGF受容体からの増殖抑制シグナルの解析. EGF受容体は多くの場合、EGF添加によりチロシンの自己リン酸化-Shc-Grb2-Sosを経てRasを活性化し細胞増殖を促進する。しかし、例外的な現象としてEGF受容体を過剰に発現するA431ヒト上皮由来癌細胞株では、高濃度EGF存在下に増殖抑制が生じることが知られている。その分子機構についてはSTATやp21(Cip1)の関与が報告されているが、まだ不明の点が多い。そこで、この興味ある現象を詳しく理解するために、種々のシグナル系阻害剤を用いて解析した。その結果、PI3キナーゼ系の阻害では影響は見られなかったが、予想しなかったことに、C-キナーゼ、特にPKCδの関与を示す新しい結果を得た。すなわち、PKCδの特異的阻害剤を添加すると、高濃度EGFによるp21(Cip1)の発現上昇やDNA合成阻害が抑制された。一方、ドミナントネガティブRasによるMAPキナーゼ系の阻害では、少なくとも早期の反応には影響がなかった。 (2)、 Shcアダプターからのシグナル伝達. 我々は、これまでにShc上の317Y以外の新しいチロシンリン酸化部位239/240Yを見い出し、またこのリン酸化部位はc-mycなどの調節にも関与しうることを報告してきた。今回は更に、PTBドメイン内の56-チロシンもリン酸化を受けることを2次元マッピングと点突然変異体の作成により明らかにした。その生理的役割を検討中である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Maru,Y.: "v-Ras cooperates with integrin to induce tubulogenesis in sinusoidal endothelial cell line." J.Cell.Physiol.176. 223-234 (1998)
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[Publications] Luo,J.-C.: "Significant expression of vascular endthelial growth factor/vascular pemeability factor in mouse ascites…" Cancer Res.58. 2652-2660 (1998)
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[Publications] Hiratsuka,S.: "Flt-1 lacking the tyrosine kinase domain is sufficient for normal development and angiogenesis in mice." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 95. 9349-9354 (1998)
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[Publications] Olofsson,B.: "VEGF-B binds to VEGFR-1 and regulates plasminogen activator activity in endothelial cells." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 95. 11709-11714 (1998)
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[Publications] Toyoda,M.: "Involvement of MAP kinase-independent protein kinase C siqnaling pathway in the EGF-induced p21(WAF1/Cipl)‥" Biochem.Biophys.Res.Commun.250. 430-435 (1998)
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[Publications] Ogawa,S.: "A novel type of vascular endothelial growth factor;VEGF-E(NZ-7 VEGF)preferentially utilizes KDR/Flk-1‥" J.Biol.Chme.273. 31273-31282 (1998)