1998 Fiscal Year Annual Research Report
Anaphase Promoting Complexの活性制御機構の解析
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10680676
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
田中 弘文 東京薬科大学, 生命科学部, 助教授 (30146899)
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Keywords | 哺乳動物細胞 / 細胞周期 / 分裂期 / ユビキチン / 蛋白質分解 / サイクリンB |
Research Abstract |
AnapPhase Promoting Complex(APC)はサイクリンBなどのM期の進行と終了に関与する蛋白質に対するユビキチンリガーゼ複合体である。APCの活性は構成成分のリン酸化や、MAD2等の因子との結合により制御されていると考えられているが詳細は未だ明らかでない。一方我々が保持しているCHO細胞由来の温度感受性株(TM13細胞)は、非許容温度ではサイクリンBが蓄積し分裂後期から終期で細胞周期が停止するが、過剰のE1,E2(UbcH10)の存在下でもサイクリンBのユビキチン化が起こらない事から、APC或いはその活性化因子が温度感受性になっていると考えられる。そこでTM13細胞にヒトゲノムDNAをトランスフェクトすることにより、温度感受性復帰株を単離した。さらに復帰株のゲノムDNAを再びTM13細胞にトランスフェクトし2次復帰株を得た。この2次復帰株よりAlu配列をもとにヒト由来DNAを回収した。このヒト由来DNAをTM13細胞にトランスフェクトしたが、温度感受性の復帰は見られず、残念ながら原因遺伝子の単離は成功しなかった。さらに、HeLa細胞のM期cDNAライブラリーをトランスフェクトすることにより復帰株の単離を試みたが、現在まで復帰株は得られていない。今後、他の方法を試みる計画である。次に、Two-Hybrid法によりUbCH10と相互作用する蛋白質として単離されたH10BH(Ubc H10 binding protein with HECT-like domain)の機能について解析を行った。サイクリンBのユビキチン化の系にバキュロウイルス系で発現・精製したH10BHを添加すると、サイクリンBのユビキチン化が促進された。また、H10BHはAPCの構成成分の内、cdc27,cdc23,.cdc16,APC7と結合すること、さらにAPCの活性制御因子として報告されているFizzy-related蛋白質とも結合することを見い出した。以上の結果からH10BHが新たなAPC活性化因子であることが明らかとなった。
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