1999 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂周期の分裂期/分裂期移行をもたらすCdc2キナーゼの制御
Project/Area Number |
10680684
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大隅 圭太 東京工業大学, 生命理工学部, 助教授 (20221822)
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Keywords | 減数分裂 / 細胞周期 / Cdc2キナーゼ / アフリカツメガエル / 無細胞系 / 卵母細胞 |
Research Abstract |
滅数分裂周期では、2回の分裂期、減数第一分裂(MI)と第二分裂(MII)が引き続いて起こる。MI/MII移行期アフリカツメガエル卵母細胞においては、M期終了時にCdc2は抑制的リン酸化を受けず、このことがS期を経ずにM/M移行を可能にする要因の一つと考えられる。申請者はすでにアフリカツメガエル卵母細胞を用いて、MI終了時には、Cdc2の抑制的リン酸化が、低レベルのCdc2活性によって抑えられていることを示した。Cdc2の抑制的リン酸化を触媒する酵素はWee1/Myt1である。アフリカツメガエルのWee1は、MI終了時にも存在するがその量は少なく、MII期に入ってしばらくして一定量に達するということが判明している。そこで、MI終了時にCdc2の抑制的リン酸化が抑えられているのは、Wee1の量が少ないことによる可能性を検討した。M/M移行を再現する卵母細胞無細胞系抽出液(MI抽出液)に、Sf9より精製したWee1を、MI終了時の濃度がMII抽出液と同等になるように加えたところ、Cdc2活性の動態は体細胞分裂時と同様なパターンを示した。すなわちM期が終了するとCdc2に抑制的リン酸化がおこり、サイクリンBが蓄積してもCdc2はしばらくの間不活性化状態を保ち、その後急激に再活性化してM期に移行した。Cdc2の不活性化が保たれている時期には、DNA複製もおこっていた。また、Wee1をGVBD直後の卵へ注入したところ、同時に注入した精子クロマチンには核の形成とDNA複製がおこり、その後M期染色体への形態変化が観察された。これらの結果から、MI終了時にWee1の量が少ないことが、MI/MII移行期にCdc2が抑制的リン酸化を受けないことの重要な要因の一つであると結論された。
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